高宮大杜御祖神社ヘ初詣、散策

 高宮大杜御祖神社ヘ初詣、散策

         2021/01/11

         十河 智

 

 私の住んでいる寝屋川市の高宮地区には古代より人が住んでいて、古墳や住居跡など、遺跡の多いところです。隣には太秦という地名が残り、渡来人の根を下ろした場所と言われています。
 NHKのドラマで大化の改新とか遣唐使の物語をやっていましたが、あのドラマの時代の渡来人の集落があった地域に当たります。
 この住宅街は50年前に竹林の丘を一つ潰して造成されました。もとの地主さんたちも相応の土地を受け取って、私達が来た頃にはまだ家を建てずに畑などにしてそのまま一代過ぎました。
 この頃、代が変わっていく様子が、なんとなく滲み出ています。息子さんが旧村地区は、路地が狭く、救急車や車が通れないということで、建築や改築の許可が下りないらしく、この丘の上に新家を建てるケースや、半分に分けられた土地に分譲の札が立ったりするようになりました。相続などが始まっている様子です。畑や田んぼも、少しずつ地上げされて、街に組み入れられて来ました。
 それと並行して、私達と一緒に子育てをし、壮年期を過ごした「新住民」も後期高齢者核家族が老夫婦世帯となり、庭や家の手入れが行き届かない様子や人が来ない児童公園が荒れ放題になっていたり、施設や子供に引き取られて、こんなことからも、売りに出される家が増えています。丘から見渡せば、日本全国とつながっている高速道路の威容、それも運転免許があればこそ。ここは、私達夫婦にとっても、年々住みにくい場所に変わっていくことでしょう。
 コロナ禍の年明けに、住宅街の裏にある、旧村地区の歴史ある高宮大杜御祖神社に久しぶりに散歩も兼ねて参拝しました。
 遺跡として市が管理はしているが、人とは会わず、2時間ばかり彷徨しました。景色がだいぶ変わっていました。

住宅の脇の小道の枯れ葎
初詣白鵬時代より社
寒林や殺虫剤散布個所ロープ
誰も来ぬ鎮守の森の初松籟
淑気満つ宮御手洗に無き柄杓
初雀拝殿前の日当たりに
古代人住居の跡や卯の杖を
滑り台脇のベンチと枯草と
櫟枯る孫と遊びし昔あり
冬菜畑ちようど我が家の裏辺り
枯草の種引つ付けて大鳥居
橙飾る二千年の村の道
村に今残る枯れ田と住宅街
オリオンの狙ふ高速行く車
徒歩の背を威す三日のクラクション
冬晴れや長屋解体後の戸建て
風物の変はり変はらず年明けぬ