句帖を拾ふ(2020/07)

句帖を拾ふ(2020/07)

        2020/08/01

木苺

raspberry 

 

木苺やホームメイドのケーキ来る

raspberry ;

a home-made cake sent to me(07/07)

 

木苺

raspberry 

 

ラズベリー赤毛のアンの篭いつぱい

a basketful of raspberry ;

red-haired Anne is picking(07/08)

 

パセリ

parsley

 

青臭さ苦味パセリを頬張れば

parsley stuffed into mouth ;

green and bitter tastes

 

パセリ

parsley

 

プランターのパセリ生き生き並ぶ道

parsley ;

vividly as an ornamental plant on the street

 

サンドレス

sundress

 

サンドレスささあと縫うて人台に

quickly sewing a sundress ;

immediately dressing on a dummy

 

サンドレス

sundress

 

サンドレスヘップバーンもモンローも

sundresses ;

my images of Audrey Hepburn & Marilyn Monroe

 

次次と見上ぐる視線燕の巣  十河 智

 

one group of people after another look something up ;

swallows‘ nest SOGO Tomoko

 

 食堂だったか、喫茶店だったか、ガラス張りの店の外が見える席にいた。

 来る人来る人が、立ち止まっては上を見上げ、指差し、笑みを浮かべて、それから店に入ってくる。中の私からは、どう頑張っても見えないところにそれはあるらしい。方向が違って入ってきたので、気づいてなかったのだ。

 暫くして、燕が戻ってきた。子燕がいたことを、帰りに確認した。

 結構町の中にも、こんな光景があるようになった。年寄ばかりの住宅街、ということは、家も築後50年以上、燕の営巣に適しているのだろう。

 

8

俳句大学席題2020年07月第二週

「花火」3句

 

花火師の渾身の色星に込め

ゲリラ的打ち上げ花火コロナ下に

近所中寄り来て花火露地の奥

 

9

夏至

summer solstice)

 

夏至の月日を喰う子細沸き立ちて

the new moon of the day of summer solstice ;

being excited minutely about a total eclipse of the sun

 

家中の古い本、何十年も倉庫や本棚に並べてあったものを古紙回収に出した。

 古本屋さんに来てみてもらったが保存状態が悪いもの、バーコードのないもの、文庫本、中には小火で煤けたものまで、ほぼ持って帰ってくれなかった。

 自治会の古紙回収日にガレージにいっぱい並べておいた。自治会活動の足しにはなるだろう。

 全部持っていってくれたが、あとに英語読本のカセットテープが混じっていて、きっちり残してくれていた。それは翌日可燃ごみへ出した。

 

 

10

夏至

summer solstice 

 

夏至の日の明るき夕べ古書整理

the bright evening of the summer solstice ;

the disposal of the old books 

 

11

夏の月

summer moon

 

夏三日月薄ら笑ひの気味悪く

a summer crescent moon ;

a creepy faint smirk

 

12

夏の月

summer moon

 

夏の月きつぱりと言ふ止めとけと

summer moon says once and for all ;

"Don’t do that!"

 

13

薫風

fresh wind

 

薫風が外へと誘ふ自粛中 

fresh wind tempting me out ;

I am now voluntarily refraining from going out  

 

14

薫風

fresh wind

 

薫風を一身に享く流れ橋

my entire body in the fresh wind ;

low water bridge

 

15

rainbow

 

虹立つや昨日の雨の崖崩れ

a rainbow is arching ;

a landslide from yesterday's rain

 

16

rainbow

 

卒五十年記念旅行を祝ふ虹

a rainbow ;

celebrating our commemorative 50-years-after-graduation trip

 

17

夕焼

sunset 

 

夕焼けや街の東の丘に住む

the sunset ;

I live on the eastern hill of the town

 

18

夕焼

sunset 

 

夕焼けにすつぽり嵌まる諸手挙げ

being immersed in the sunset ;

cheers with both hands up

 

19

俳句大学席題で一句合評句会 2020年7月 

夏雲システムを使う合評句会

第三週合評句会 

[土用]

 

土用丑の日精をつけよと宅急便

土用太郎煤けし本を束ねけり

土用二郎コロナ情報入り乱れ

土用三郎自治会古紙の回収日

本棚と納屋すかすかに土用明

 

20

俳句大学7月連休企画 席題一句合評句会

 夏雲システム利用

「雷(かみなり)」

 

日雷なぜかテレビが映らない

すぐ裏の藪に落雷震へたり

いかづちやヘッドライトと交錯す

遠雷や光る大阪城辺り

はたた神金剛生駒を縱横に  


21

梅雨寒に手編の綿のネックバンド

handmade cotton neckbands ;

rainy season chill


思い出の余りの糸やレース編む

lacemaking ;

the leftover cotton threads in the memories of the past 


コロナ感染拡大が収まらない。外出を控えていると、時間つぶしが必要になる。長い人生には、少しずつ残した余り糸があるものだ。普通は合わせることのないいろいろな糸を組み合わせて、ネックバンドを作っている。服に合わせて使えるくらいたくさんできた。


22

若者よ行くな遊ぶな夏休み


young man, don"t go outside for fooling around ; 

summer vacation not for the spread of 

infection SOGO Tomoko


はやくどうにか終息してほしい。


23

夏休み

summer vacation


災害とコロナウイルス夏休み


disasters and Coronavirus ;

summer vacation 


24

俳句大学7月第4週

〜席題で一句〜

席題=金魚(きんぎょ《きんぎよ》)「夏-動物」


夜店にて釣りし金魚を放す鉢

蘭鋳に親しみわかぬまま老いぬ

金魚田の近づく程に生めかし