甲府ぶどう狩り吟行感想記      

甲府ぶどう狩り吟行感想記

         2023/10/07         十河 智

 

 

  甲府は、短期間であったが、主人が、まだ現役の勤め人の頃赴任した土地であった。仕事を持っていた私は、甲府へ週末、主人を訪ねた。主人の会社の同僚で、葡萄栽培、干し葡萄作りなどを退職後の仕事にして、甲府に魅せられ、この町を終の住処にした人も何人かいた。また振り返ると、甲府への中央線の旅から私の俳句生活は始まったのだった。

 その甲府で、「里」の葡萄狩り句会があるという。「里」は、縁あって購読会員となっている。甲府に久しぶりに行ってみたくて、このぶどう狩り吟行に参加することにした。

 中央線の旅は、やはり最高だった。高いところのせいか、空気が違う。

 日頃俳句を読ませていただいている多くの里人と、お初に、あるいは再び、交遊できて、楽しい旅となった。多分最年長であったろうと思うが、ときたまコースから外れたりしつつ、なんとか、一緒に旅を終えることができた。

 甲府の街は歩いたことがあるが、葡萄畑のある里へは来たことがなかった。

 山梨は桃と葡萄、桃園は茂りの緑が濃い時期で、目を惹いた。桃と葡萄が交互に隣り合っていて、桃の木も葡萄の棚も、収穫がしやすいように人の背丈ほどに仕立てられていて、高みから見ていると、日差しがきわたり明るい果樹園である。

 葡萄棚の下に入ると風が通って涼しい。葡萄の香りがほんのり漂う。ぶどうの房の重みを支えて鋏で房の付け根を切った。収穫イベントの前は農薬は影響無い様散布しないという。皮も食べられるのでそのひと粒をに入れた、渋みもなく甘くて美味しかった。

 一泊の後、勝沼ぶどう郷駅までお仲間の車で送ってもらって、鰻を食べて、最後まで楽しい、美味しい旅を満喫した。

 

句会の出句

 

桃の木の茂り黒黒残る暑さ

もとの木の細きや広きぶだう棚

ベビーカーわだち二筋ぶだう園

ふくろかけかさかけあまたなるぶだう

ひとふさのぶだうの重みはさみ入る