手提げがない。

手提げがない。

        2023/04/24

        十河 智

 

 歳とコロナで、出かけることが億劫になっている。それをはねのけて、元気にでかけたいと、お昼は食事を外ですることが多い。

 一昨日も主人が行こうというので、丸亀製麺にうどんを食べに行った。外環をかなり南へ、星乃珈琲店を少し大阪方面へ曲がったところにある店に最近はよく行く。ちょっとおでかけという距離が、暮らしにつけるアクセントとして具合がいいのだ。行きは私が運転した。このところ私も率先して運転をするように心がけている。どちらかが何かあったとき、搬送の手段として私も運転しなければ、と思ったのが、免許を取る動機だったのだから。

 土曜日の2時過ぎ、空いているかなと思っていったのだが、いっぱいだった。セルフなのでスムーズに捌かれて、待たずに食べることはできる。丸亀製麺では、当たり前だが、うどんだけなので、食後にどうしてもコーヒーが欲しくなる。続きで、星乃珈琲やコメダに行くこともよくあるのだが、ここ最近、安上りの、しかしまた続きで必ず立ち寄る、スーパーオオクワの自販機コーヒーが、案外おいしくていいとわかったので、もっぱらそれを飲むことにしている。

 と、そのようにいつものコースで、丸亀製麺でうどんのあと、スーパーオオクワのコーヒーに移る途中、いつも持ち歩く手提げが車の中にないと気づいた。行きは運転していて、気に止めていなかったのだ。てっきり丸亀製麺に置いてきたと思ったので、引き返してもらった。丸亀製麺は案の定満席で、店にも届けられておらず、次に座った人たちも知らないという。店員さんに手提げの外観ともしあった時の連絡先、自宅の電話番号をを書いたメモを渡して、その場は退いて来た。

 家に今食べ物がなんにもないので、スーパーオオクワで買い物はして帰ったが、気持ちが晴れず、最小限でさっと帰ることにした。

 買い物をして、家に帰り、買ったものを整理したあと、実は今日でかける予定の一泊句会の荷物を確認しようと開けた。そこに、荷物を一つにまとめるために詰め込んでいたいつもの手提げがあったのだ。

 なんかよくこんなことが起きるようになった。行動のきっちりした把握と記憶ができなくなって、ちぐはぐ、とんちんかんな思い込みをするようになった。歳のせいと笑ってもいられない。今はまだ間違いに気づけて、コース変更もできているが、これができなくなるのが老いであろう。そんなことも思うのだ。

 食後のコーヒーを飲みそこねたし、だいぶ時間を無駄にしたな、そんな悔しさの湧く一日だった。

 今日は気分転換、いい旅をしてこよう。その前に一眠りしなくては。