森賀まりさんの句集「しみづあたたかをふくむ」を読みました。
2023/03/10
十河 智
題名の通り、空気から、湧き水から、日向や陰から、句が立ちい出てくるのを、そっと手の中に掬い取ったという感じがしました。
読んでいて、全く作者を感じさせない、表現に付き従えば景色が見える。ある時は対面する人がおり、ある時は四季の折折の風情の真ん中に立っている。一句一句、その句が連れて行ってくれる世界へごく自然に誘ってくれる。
好きな句。
湯豆腐や煙のごとく人去りて
真二つにまた真二つに紅蕪
天牛やかすかに風の押す力
秋澄むやうぐひ見つけし子は偉き
葉桜や大きいひとは舟を漕ぐ