学校の教室の空気検査、オミクロン株蔓延の中

学校の教室の空気検査、オミクロン株蔓延の中

        2022/02/12

        十河 智

 

 寝屋川では、今、学校がほんとに大変なことになっている。前なら、「家族にコロナ陽性が出ました。当該生徒は、濃厚接触者ですがPCR検査陰性でした。」で終わっていたが、オミクロン株の感染力は、たいてい家族内感染、グループ内感染を引き起こす。「当該生徒は、陽性。」となり、だいたいの場合クラス全員検査へ進み、何人かと担任が陽性となったりのが、このところの傾向である。

 寝屋川市発表の学校でのコロナウイルス感染情報が、薬剤師会経由で、学校薬剤師宛に、教育委員会より、担当校分だけ流れてくるFAXが配信されている。

 連休中なので、今はまったくないのだが、連休の前の日は4枚もあった。事例ごとなので、枚数が嵩むのだ。これを見ると、感染蔓延を肌で感じる。

 そのうえに、やはり学校薬剤師の年度内最後の仕事、「教室の空気検査」を行う指令もFAXで流れてきた。

 コロナ下の検査で、生徒の授業中に行うものなので、学校と感染の状況を相談の上、実施するようにと、年度内にできないことも想定しているような内容であった。

 寝屋川市内の全小中学校は、現在、ストーブが廃止され、エアコン暖房に代わっている。空気中二酸化炭素濃度に関係する要因は、人の呼吸と換気との兼ね合いだけである。一昔前は、換気が悪いとガスストーブの不完全燃焼を引き起こし、一酸化中毒による事故が起きる危険があった。そのことが、検査の必要な理由であったのだ。二酸化炭素濃度を調べることで、換気の度合いが見られる。直接一酸化炭素濃度を測ることはないが、危険を察知し、対策を取ることができる。ストーブを焚いていたときには、基準を超える二酸化炭素濃度を示すこともよくあった。「換気、換気」と、報告書に書き、先生に言い、生徒にも言っていた。

 が、今は、体の大きい中学生でも、一クラス30人、少子化で密度が低く、空気を汚さない暖房、あまり基準を超えるような結果は見なくなった。

 この検査、今までは、空気を吸い込むことにより、二酸化炭素が、毛細管内で試薬を仕込んだシリカゲルに吸着、その部分の色がピンクに変わる長さを濃度にあらわす検知管を使用していた。

 授業中に教室に入り、検知管は、密封した毛細ガラス管で、検査直前に空気の出入り口をガラスカッターで折ってシリンダーに取り付け5分間空気を吸引する。準備段階のガラスを折るとき、細かいガラス片が、溢れることのないよう、細心の注意が必要で、空気の流入、反応の待ち時間も含めて、検査時間は20分くらいかかっていた。

 この測定のときはちょうど学年の総仕上げの時期で、授業の中身を垣間見るのが、案外面白いのだ。小学校も中学校も、ああ、こんなことは、この学年でやっているのかと、自分が習ったときとの違いなど、待ち時間も、授業を聞けば、得をした気になるし、あまり長く感じないのだ。

 学校薬剤師会では、より正確な、瞬時に測定可能なデジタル電子機器を採用し、ここ数年で変えていく途中であった。が、このコロナ禍に、今年は、全てデジタルの器械を用意することになったという。教室に入り真ん中の机上での測定は同じであるが、待ち時間がなくなる。まさにコロナ対応、感染対策である。

 だいぶ測定が楽になる。

 また、こういう器械にはデータの信頼性を維持するための検定というのが定められていて、機器本体も高価であるが、維持のための何年かに一回の検定料もかなり高額である。故に備品としては何人かに一台で用意される。日程を調整して、少ない台数で、全学校、およそ1ヶ月間のうちに測定する。

 今年は、コロナの関係で、換気は十分にと言われているだろうから、いつもよりきれいな空気であるだろうと検査結果を期待している。

 建国記念の日の祭日があり、連休となったので、月曜日に学校に電話、日を決めることになる。まだ休校というのは聞かないので、年度内検査はできるだろうと思っている。

 

教室の空気ピリピリ受験の子

暖房に空気清浄なる電気

教室に二酸化炭素息白し

体育の脱ぎ置く冬の服日向

凍る手に散らさずに折るガラス管

風邪の子の空席に置く検知管

一瞬の寒気デジタルデータへ

コロナ禍の検査の遅れ三月尽