老いてゆくこと
2021/12/11
十河 智
1
今年は喘息が出て、とても調子が悪い。
静岡ではどこも暖かく、調子が良かった。
帰りに岐阜へ寄った。町外れといっても、川と山の間で、寒い夜だった。
そこから、自宅につくまでの車の中で、ひどい発作が起こり、呼吸の制御が不能になった。咳は出ないが、息が荒く、息をしてもしても、酸素が肺に入らない。言葉で伝えるのはむづかしいものだ。
ずっと家に着くまで、うまく酸素が取り込めるように、ゆっくり深く、落ち着いて呼吸を調える様、自分に言い聞かせていた。
そのうちに使用した吸入薬が効いてきて、家に着く頃には呼吸が治まってきた。
私はこんな状態なので、高速道路も長距離の運転も、交替できない。休息や宿泊を入れて、主人に運転してもらって旅をするしかない。しかし近場に出かけるにも、車が楽で便利。つい最近免許更新は難なくできたのだが、年齢は気になる。
いつまで出かけることができるだろうか。
新井満氏がなくなったそうだ。1946年生まれ。同じ年の生まれのようだ。こうして同年代の人の訃報をよく聞くようになった。
2
この菊を生けたのは、11月16日、それから娘のところ、静岡へ行って帰ってきたが、まだ生き生きとしていた。冬の生花は長く見られるのだ。枯れかかった花も色は褪せない、老いて頑張る自分のように、そのままに枯れきるまで見てやりたいとつい最近まで、置いておいた。
ほぼ3週間ほど、床の間で頑張ってくれた。
今は、ピンクのスィートピーが、晴れやかに陣取っている。
十二月二日けふより後期高齢者
冬の雨新井満氏の訃報かな
寒暖差アナフィラキシーめきて咳
調はす息なり吸うて白く吐く
おのづから老いの兆しや枯尾花
旅の留守衞りてありし冬の菊
枯れゆくをこのままにせむ黄の菊よ
待春を現はさむとてピンクピンク
十河 智