日本薬剤師会の学校薬剤師向けの研修会 ………… 東京品川でありました。

日本薬剤師会の学校薬剤師向けの研修会
     ………… 東京品川でありました。
     
         2019/08/03


 何となく台風に脅かされながらも、支障なく、新幹線に乗り、また静岡へ向かっている土曜日。
 最近は研修会もあまり出掛けなくなっているのだが、かなり早くから、東京品川である学校薬剤師向けの全国規模の研修会に申し込んでいた。
 娘が静岡に落ち着いてから、東京へ行く足掛かりに利用することが、楽で便利であるとわかり、また東京の街そのものに魅力を感じ、機会があれば、遊んでみたいのだ。
 今回の研修会は、取り上げる話題にも興味が湧いた。
 その日の台風の予報は強烈そうで、新幹線が運休にならないかと心配だった。
 出発日、関西は晴れて、梅雨明けとなった。すこし風が強い程度で、予報のわりに、台風が感じられなかった。新幹線も時間通りに走っている。
 孫たちは少し成長していた。5月に会ったときより、喧嘩も少ない。次の日朝8時には出るので、早く寝た。
 翌日、予定通りに品川へ。東京へは行くこと自体うきうきする。この感覚はなんなんだろうか。おのぼりさん?
 静岡の街では、知らずと富士山を探している、見えると、当然なのに、嬉しくて安心する。新幹線に乗っても、雲があって、富士山は見えなかった。損をした気分。これも我ながらなんなのかなと、思う。日本人だからかな?
 新幹線はひかり、かなり混んだが座れた。品川まであっという間だった。ひかりは速い。

夏台風逃げて予定の研修会
富士見えず梅雨明けの日の新幹線 


 品川駅の港南口へは初めて出た。地図を持ってはいるが、不安なのでタクシーに乗った。基本料金410円で安いと思った。女性のドライバーで、めずらしかった。
 午後からもある研修のお昼をどこでと思って見回したが、ビジネス街のビルはどこも日曜日に開いている店がなさそうだった。
 立派なビルの貸し会場、受付を済ませ、席に着いた。全国規模なので、前日泊のスーツケースを持つ人も多い。
 中央にディスプレイがあり、左右中間にも小さめのディスプレイを置いていた。中間のよく画面の見える位置に座った。椅子もゆったりと座れる。通路がすこし狭いので、大きい鞄が通りにくそうであった。
 全く知り合いは居ないと思っていたが、声を掛ける人がいて、同じ寝屋川の顔見知りだった。インターネットから個人的に申し込むので、知らなかった。まあ連れになるほど親しい人でもないが、少々嬉しくもあった。

満席の隣の人の扇かな 
遠く来て知る人の声白きシャツ
冷し水そして研修資料かな


 午前は文科省の調査官という人が、講演を行った。
 学校安全衛生基準の周知徹底具合と学校薬剤師の業務に関しての学校側の対応など、アンケートや講習会での質疑応答などから抜き出し、学校薬剤師が、学校においてうまく活用されていない現状があると語った。
 子供たちの安全な学校生活のために状態を客観的に把握するための必要な環境検査であること、今問題が起きてないことに安心してはいけないということをもっと、学校の管理者にまで声が届くよう、私たち学校薬剤師が積極的に働きかけるよう、励まされた。
 また給食調理室の衛生検査の項目が、最近学校安全衛生基準の中から外され、別個の法律として運用されるようになったことについて、法令の解釈上の行き違いがあり、法律が分離されたために、しなくても良いと思っている学校も出てきているが、従来通り、やる必要がある。
 教育委員会や学校側の依頼でデーターをとる外部検査として、子供たちの安全確保の観点から改善策を助言できる、学校薬剤師がやるべきである、と、これも力説された。保健所の立ち入り調査は、大規模調理施設の監視の視点で行うもので、違反の指摘が主な内容となっている。これはあまり施設の改善につながらないとしていた。

快適な学校めざす夏研修  


 この講演がちょうど正午に終わると、司会が、午後の段取りを告げ、お弁当を用意していると言う。会場付近の事情を考慮してのことらしい。薬剤師会やるな!であった。
 幕の内弁当と、「おーい、お茶」をもらった。紙パッケージに、俳句大賞の入選俳句が印刷されていた。中学生の俳句だった。伊藤園はかなりの手間をかけて印刷しているのだろうな、俳句をしているものには興味深いが、気づかない人も多そうだ。
 残りの時間はクーラーの効いた窓の広いロビーから、川を眺めて過ごした。しっかりとコンクリートで固められた隙を見せない川である。品川は海辺、この川も潮の満ち干で流れが変わる汽水川であろう。水量が多くて、涼しい風景であった。

梅干しの弁当おーいお茶俳句
品川は海辺よ夏の汽水川  


 午後からは、学校薬剤師が知るべき話題として、同じく学校に関わる医師の「がん教育」と題する講演、実践する学校薬剤師の、「給食室のゴキブリ調査」「こども園での環境検査」報告があった。
 がんに関しては、今は、治る病気として、治療と社会生活の維持を図る時代になってきている。
 (現にうちは夫婦ともに、がんの疑い部分を取り除き、抗がん剤治療もして、もう二、三十年になっている。)
 世の中、二人に一人ががんという時代である。がんの治癒率・生存率はこれからも飛躍的に伸びるので、がん教育によって、実情と違う、がんに対する誤解を取り除き、治療を受けて治す、がんを治療しながら仕事をする人を受け入れる社会を作る、そういう論点のお話だった。

がんは今二人に一人夕端居
向日葵やがん持つ我と職場にて
梅雨明けの明日を待たむ怖れずに  


 学校薬剤師の報告は、自分の経験を重ね合わせて意義深く、面白かった。

 1  ゴキブリ(衛生害虫、ネズミも含む)

 ある年の夏休みの給食室衛生害虫の捕獲調査、計画の綿密さが、調査結果の信頼性を高めている。
 部屋を分画し、交点に一個ゴキブリホイホイ2週間設置により、捕獲数の調査をする。
 見つかったところには入口と卵の発見に努め、対策を施した後、再度の捕獲調査により対策が有効であった確認をしている。大がかりで、どこでもやれる調査ではないかもしれないが、担当校で話をする際のデータとしてとても参考になった。

(調査用紙によるアンケートでは、担当校では、ゴキブリに遭遇したことはないとの回答である。しかし、この調査では、そんな回答があっても、必ず捕獲されている。)

 2 こども園(幼保合体型の園)

 経験豊富な学校薬剤師の方が、今までの経験と共に、最近新設されるこども園が、幼稚園と同じく、学校に準じて、安全衛生基準の対象となるので、保育の部分に関わる特別な注意点をあげてくれた。
 基本は同じであるが、お絵かきやハイハイする子もいて、床に近いところで、じっと机には向かっていないことから、照度の測定点の決め方に工夫したことやや床まで届く部屋全体を明るくする方策の助言をしたことを話された。また簡易型のプールが多いため、頻回に塩素濃度を確認し、維持するためのプールの殺菌剤の投入方法の指導など、気をつけなければいけないという話もあった

ゴキブリのゼロが本来給食室
クーラーの教室生徒の呼気満ちて
こども園簡易プールの残留塩素 


 研修後、この頃私は集めるのをやめた研修シールを貰う人が列を作っていた。業務上必要な人がいる。不正チェックの本人確認がここでも最近厳しくなり、時間を取るようになったのだ。それを横目に、外に出た。
 駅へ向かう道は、同じ研修から帰る人たちだけ。日曜日で、時おり、走る人や歩く人が川沿いに見える。川に水鳥が浮かぶ様子がのんびり楽しそうであった。

満潮の弛き波間や通し鴨 
夏木立ビジネス街の日曜日 



 帰りの新幹線は夏休みらしく、子供が多く、自由席は三島まで、立つはめになった。壁に持たれてなんとか頑張った。山の方は雲がかかっていて、やはり富士は見えない。

三島まで立つこだま号日焼の子
峰雲に帰路にも富士を見ず終ひ 


 静岡に着くと、孫たちが迎えに来て、回転寿司へ行くことになった。土用の丑の日であったが、鰻は食べられなかった。最近の回転寿司は子供の楽しむ仕掛けで、ラムネまで置いてある。

土用鰻幟を立てて匂わせて
回転寿司ビー玉めあてのラムネ飲む  

               十河智