うちにやってきた本たち
2021/05/29
十河 智
5 俳人前田霧人の「新歳時記通信」
第12号 2021年4月
高校時代の同窓のよしみ、俳句をする者同士として、刊行すれば送ってくれる本である。
彼とは、高校も男子組というクラスが何組かあって、また、大学も同窓であったが、理学部と薬学部で、その頃は交流がなかった。40歳かの記念の高校学年同窓会で、出会い、俳句をしていること、俳句に関する本を書いていることを知ったのが付き合いの最初である。
その後は毎年の定例化した同窓会で合うたびに俳句の話をし、関西現代俳句協会の会合でも、顔を合わす様になった。
その頃は、代表句「しんしんと肺碧きまで海の旅」の篠原鳳作については、ある結社誌に連載をしていて、後に出版もした。
その後の仕事として、歳時記を成す事をライフワークにしたようだ。一里塚のように、これまでも中間の成果がまとまると、読ませてくれていた。
「新歳時記通信」
第12号
2021年4月
この本は、今までの成果の単行本版の各論編、第一部という位置づけのようで、これ自体のボリュームから考えると、単行本版というのはどれほど膨大なものとなるのだろうか。
前田君が後記に記す、工程表ではあと5年かかるとしている、壮大な仕事である。
彼のリサーチ力はすごいと思う。例句には、つい最近読んだ句集や、フェイスブックなどで知った俳人たちの句が入っている。角川の歳時記よりも親近感が湧く。現代、生きている時代を感じて読んでいる。
彼も私も、長生きをして、ぜひともこの歳時記が成書として日の目を見るところを見たいと思う。
通読後は、たまに拾い読みする歳時記。この本も、そんな本の一つになろう。引用の句は新しい。
まずは、好きな季語を捲ってみたい。
前田君の努力を思いつつ、長く座右に置いて参考にしたい。