G20直前、梅雨の晴れ間のコンサート

G20直前、梅雨の晴れ間のコンサート
          2019/07/02
          
 大阪で、G20直前の2019年6月28日、西宮の兵庫県立芸術文化センター神戸女学院小ホールにて
 有馬みどりピアノリサイタル
~ ベートーベン ピアノ・ソナタ 全曲演奏会シリーズ Vol.Ⅶ ~
が、開催され、聴きに行った。
 このベートーベンのシリーズも、半年毎くらいに7回目、次の今年末の回で、最終となる。
 始まったときは、最後まで聴きに来られるかどうかわからないけどと、有馬みどりさんに言っていたような気がするのだが、時が経つのは早い。ゴールは間近となった。全部聴けそうである。
 大阪中の厳戒態勢で、とても車では行けず、東寝屋川、改め、寝屋川公園駅に車を置いて、東西線経由で行こうとしたが、駅付近の再開発が始まっていて、全く駐車場がなく、ひとつ大阪よりの忍ヶ丘駅に車を置いて行った。JRは、全てごみ箱にテープが貼ってあり、使えなかった。阪急の西宮北口まではバス、何回か乗って、バス停も、すぐに行けた。バスが面白い。タクシーに乗りたがる主人より前を歩いて、バスに乗り込んだ。
 西宮ガーデンズで食事、ここはゴミ箱が使えた。スープ屋さんが気に入っていて、そこの一品と唐揚げをフードコートのテーブルで食べた。タリーズコーヒーで開場時間までいた。
 そう大きくないホールなので、開場の時はかなり人がいる。座席はピアニストの指がよく見える位置にした。平日は土日と違い、年寄りの夫婦の多いこと。土曜日のときは、みどりさんや、主人の友人である、亡くなったみどりさんのお母さんのピアノの生徒さんなど、若い家族連れもいるのだが、この日はほとんど学生や少年少女はいなかった。
 いつもながらに力強い演奏で、私はピアノの鍵盤上を激しく移動する演奏者の指を映す黒光りするピアノ前面を見ていた。美しかった。私の浅いベートーベンのイメージにはぴったりであった。
 主人は、ベートーベンが大好きで、他の名人を聴き比べたり、予習をしていく人で、意見も感想もあるようだった。私にはよくわからないことを言っていた。
 終わると9時を少し過ぎる。出るところで、みどりさんが友人知人に囲まれて、話をしていた。主人が帰りますと合図を送り、みどりさんが、話を止めて、またお電話で、と声をかけてくれた。
 外に出た。雨が降っておらず、傘は要らなかったなあと言った途端、傘を忘れたと気づいた。慌てて取りに戻った。エスカレーターは下り一方になっていて、エレベーターを探したり、手間取った。
 阪急の駅でタクシーに乗り、JR 東西線経由で帰路に着いた。
 北新地や京橋から、金曜日ということもあって、ほろ酔い加減の人たちが乗り込んできた。車ばかりの主人が、何でこんなに人が多いと聞く。その度に、駅名を言い、金曜日だから、という。そんな間の抜けた会話も、これから多くなっていくだろう。

駅近き駐車場にて雨蛙
水無月やバス停のある大通り
夏の灯やピアノに躍る十指追ひ
梅雨湿り弾き切るハンマークラヴィーア
灯涼しリサイタル終へ和やかに
ピアノソナタばかり三曲梅雨の月
暇する声掛けてをり夏のシャツ  
終演後梅雨晴れ間へと人を吐く
             十河智