コンサーは久しぶり
2020/10/24
十河 智
有馬みどりさんのコンサートに神戸西宮まで出かけた。
去年暮れに集大成のベートーヴェン・ピアノソナタ全曲の演奏が完結、その後コロナ禍により久しくコンサートは開かれなかった。
JRに乗っていくのも約半年ぶりのことである。
早めに出かけようと支度を始めたのに、髪の毛を少し念入りに手入れしようとして、ブラシが絡まって抜けないというハプニングが起きた。髪の毛も老化しているのか、すっと櫛が通らず、一人ではどうにもならなくなった。今更美容院に駆け込む時間もない。ちょっとふんわりカーブをつけてと思ったのが仇になった。主人に少しずつ緩めてもらい全部抜くのに小一時間。大事な毛をごそっと無駄ににいてしまう結果になった。それでも、なんとかブラシが外れてよかったのだが。
気を取り直して、寝屋川公園駅の前のタイムズに駐車して、学研都市線で西宮へ。3時ごろ、JR西宮では時間があったので、いつもと違う出口のお惣菜やさんでおにぎりとおかずをイートインコーナーで食べたあと、向かいのマクドナルドで食後のコーヒー、そして時間つぶしの読書、いつの間にか寝屋川と同じ昼の過ごし方をしている。夜は遅くなるとわかっているので、惣菜店で、夜のおかずはテイクアウト。しっかりと袋に包んでもらい、コンサート会場へ持って入った。
兵庫県立芸術文化センター、小ホール。150人限定、なのでコロナ的には大丈夫だろうが、興行としては、難しそうであった。
演奏の曲目が、わたしにはめずらしかった。モーツァルトで変奏曲があるのは知っていたが、ベートーヴェンの頃にも高尚な遊びとして、即興や変奏が行われていて、わたしたちが今、ジャズを楽しむように興じていたと解説されている。同じ主題で、ベートーヴェンの最後の曲とリストの最初の曲が並ぶと解説にあって面白いとおもった。
パガテルというのも小曲という意味のようで、実験的に色々と作曲されてきたようである。
楽しく聴くことができた。久しぶりの優雅な時間であった。
演奏後のエントランスでの挨拶などはなく、9時には外に出た。雨がひとしきり降っていた。
学研都市線に乗ったが、木津経由奈良行と書いてあり、どこかで乗り換えが必要かどうか不安だった。結局この電車は木津から大きく奈良まで回っていくのだとわかり、いつものとおり一本で寝屋川に帰れたのだが。
行きには満車満車で4つ目にやっと停められた10台くらいの小さいタイムズだが、どこも空になっていて、うちの車だけであった。
帰って、お惣菜と冷凍ご飯で夕食。
主人が、CDを持ってきた。クラウディオ・アラウ演奏のベートーヴェン、ディアベリ変奏曲 作品120。持っているんだ、と思った。
それを聞きながら書いている。
冷やかな雨の降る日のコンサート
秋の雨イートインある惣菜屋
長き夜の遅き夕食想定し
ベートーヴェンディアベリ変奏曲夜霧
秋の夜やピアノ小曲パガテルとふ
木津経由奈良行きに乗る秋湿
秋時雨夜のタイムズに一つだけ 十河