句帖を拾ふ(2022/05)
2022/06/01
十河 智
1
たまにラインで孫の近況が来ます。7月にピアノの発表会があるのに、発表曲をテンペストにしたと言ってきました。祖父である主人が好きな曲で、いつか弾いてくれといつも言っているものです。報告された主人はおお喜びして電話をかけていました。絶対に聴きに行くと約束しています。
夏隣孫の選曲テンペスト
(Haiku Column)
grandson's next choice to play on the piano is " The Tempest " ;
next to summer
コロナ規制全て解けたる五月かな
新樹光孫へ思ひを膨らます 十河 智
2
俳句スクエア交流広場
コロナ規制全て解けたる五月かな
all the controls on COVID-19 has been abolished ;
It's May
3
【俳句大学】
2022年5月第1週
〜席題で一句〜
白菖(しょうぶ《しやうぶ》)「夏-植物」の季語
菖蒲湯(しょうぶゆ《しやうぶゆ》)「夏-行事」
菖蒲湯や娘一人の我家でも
弟の浸かる湯菖蒲投げ入れる
束ねたる菖蒲の武骨素つ気なし
新聞の兜菖蒲の剣を挿し
菖蒲売荷台の広き自転車で
4
短歌と俳句
①
(スマホ)
スマートフォンはいつもポケツトメモを取る写真予定のすべてを納め
野遊びやスマホはいつも胸にある
②
(誕生日)
だうしても産みたき日なり子供の日子は男の子とぞ知りてなほ
子供の日誕生日だよと誇らしげ
③
(名物)
名物と言ふにはうどんあまりにも地に根付きたるソウルフードよ
夏来る讃岐うどんを食べに来る
④
(片思ひ)
握手にて駅で別るる友として仲間内では恋愛禁止
片思ひ別れの駅の握手かな
⑤
(肉料理)
ときに我分厚く焼けし一切れのビーフステーキ欲して止まず
夕凪やビーフステーキ焼く河原
⑥
(地)
地に釘で陣取りゲームの陣を書く日が墜ちかかる母が水打つ
打ち水や陣取りの陣消されゆく
⑧
(虫)
ゴキブリを見れば叩けと三つ子よりスプレー噴射絶命までを
ゴキブリの今際の際を見てをりぬ
⑧
(片思ひ)
大学のクラブの昼の集まりに背高き君を見初めけり
車座や君照らし出す夏灯
5
俳句スクエア交流広場
少子化の故や地域の鯉のぼり
the society with fewer children ;
the carp-shaped streamers raised by the community
6
【俳句大学】
2022年5月第2週
〜席題で一句〜
風薫る(かぜかおる《かぜかをる》)「夏-天文」の季語
① 基本季語=
風薫る(かぜかおる《かぜかをる》)「夏-天文」の季語
② 傍題季語=
薫風(くんぷう)
風薫る植物園の池廻る
風薫るいつものドライブコースにも
風薫る大阪城へ初デート
就職の渦潮の町風薫る
風薫る讃岐より来て吉野川
7
【俳句大学】
2022年5月第3週
〜席題で一句〜
【季語】
基本季語= 蟻(あり) 「夏-動物」の季語 ② 傍題季語= 山蟻(やまあり) 黒蟻(くろあり) 赤蟻(あかあり) 蟻の道(ありのみち) 蟻の列(ありのれつ) 蟻の塔(ありのとう《ありのたふ》) 蟻の巣(ありのす) 蟻塚(ありづか)
山蟻や長き石段本堂へ
蟻の道辿りて終に出入口
赤蟻の巣荒らしせしか大波乱
サッシ戸に蟻の這い出る隙間あり
蟻の巣を観察せむとガラス瓶