主人の陶芸教室、終了
2023/07/26
十河 智
主人は陶芸を長らく教わってきたが、コロナで三年ほど教室はお休みであった。私達と同年代の先生は、日展の、著名な彫金作家で、陶芸家でもある。その先生から、「もうそろそろ陶芸教室再開かなあ。」と話していたわが家に、小包の贈り物が届いた。
それは、「教室を残念ながらこのまま閉じる。」という、通知文と、先生の心を込めた餞別の作品、夫婦茶碗であった。
こういう話の流れは、今、実に多く聞く。コロナ禍で、中止せざるを得なかった人の集まりがそのまま消滅に至る。句会などでもあるかも知れない。
陶芸教室は、とても残念だが、もう師弟共に,八十近い。もう一度盛り上げるには気力が出なかったのだろうと、我が身に置き換えてよく分かる。
ほんとうに心の籠った夫婦茶碗を、さっそくに使わせていただいて、先生の気持を味わっているようだった。
大事にしたいと丁寧にそっと洗い流させてもらった。名人の造る名器は使い心地もとても良かった。
教室は、請われて親切心から開かれていたようなので、夫は、「これからもお元気で作品制作に邁進していただき、日展などで、またお見せくださらんことを。」と、御礼状をしたためて、差し出していた。
先生のお茶碗の横に少し変な主人の作品のお皿を並べて、今日の夕飯を頂いた。