句帖を拾ふ(2022/04)
2022/05/01
十河 智
1
スカシユリ春の色して咲きにけり
透明の硝子を花器に春の百合
春寒のこの日に開く百合の花 十河 智
スカシユリが咲きました。いい色なのでお披露目です。
2
銘柄米これほど並び春麗 十河 智
these many brands of rice in a box ;
a lovely spring day SOGO Tomoko
春寒の粥でも煮ようひとめぼれ 十河 智
the Hitomebore , love at first sight ;
going to cook rice porridge on a chilly spring day SOGO Tomoko
(Hitomebore: is a brsnd of rice)
新米の鮮度を長く万愚節 十河 智
to keep long the freshness of new rice ;
All Fools' Day SOGO Tomoko
春届く米は九個の立方体 十河 智
the nine cubes of rice in vacuum packs ;
delivery in spring SOGO Tomoko
米二合土鍋で炊きぬ花曇 十河 智
these many brands of rice in a box ;
a lovely spring day SOGO Tomoko
婿から送ってきました。こんな包装のお米は初めてです。面白いのでお披露目です。
our son-in-low sent us nine brands of rice. It's the first time for me to see this way of wrapping rice.
3
【俳句大学】
2022/04/06
①
昨日はて今日の桜花を思へしや 十河 智
cherry blossoms are in full bloom today ;
who thought it yesterday SOGO Tomoko
②
公園に道に沿ひては桜さくら 十河 智
along the park and on the roads ;
cherry trees and blossoms SOGO Tomoko
③
どこよりの桜吹雪か古墳超え 十河 智
where is the blizzard of cherry blossom petals blowing from ?
over the tumulus SOGO Tomoko
4
【俳句大学】
2022/04/07
①
遠桜生駒山系果てるまで 十河 智
distant cherry trees and blossoms ;
coming to the end of Ikoma mountains SOGO Tomoko
②
逃げ水や追へど最期に行き着かず 十河 智
chasing after road mirage ;
but never getting the end of it SOGO Tomoko
③
土筆摘む終の棲家に庭要らぬ 十河 智
picking fertile shoots of horsetails ;
no necessity of the garden for the last house of our life SOGO Tomoko
5
【俳句スクエア交流広場】
駘蕩の真ん中にゐる鳩一羽 十河 智
a pigeon ;
in the midst of a peaceful spring day SOGO Tomoko
今のところ、私の周りはかわりない。平和で花見もできた。
For the time being, there has been no change in the situation around me. I live peacefully. And I have enjoyed the cherry blossoms.
6
【俳句大学】
からうじて残る桜に間に合へり
barely catching the last chance of a cherry blossom viewing ;
remains of the chetry blossoms
古刹門枝垂れ桜の今見頃
a gate of a historic temple ;
now the chetry blossoms of weeping cherry trees are at their best.
散る桜人珍しき歩道橋
cherry blossoms falling ;
an overpass on which unusually a man is passing(04/12)
一枝に残る桜や夕間暮
at dusk ;
an only branch with remaining cherryblossoms
自治会費集める役目四月かな
the role of collecting membership fees for the residents' association ;
in April (04/15)
6
【俳句大学】
2022年4月第1週
〜席題で一句〜
新社員(しんしゃいん《しんしやゐん》)「春-生活」の季語
新社員田舎になぜか都会の子 1点
まごまごが新入社員の見つけ方 1点
初出社まだ母親に起こされて 4点
入社式配属先の上司どこ
就職す専門職の入り乱れ
7
【俳句大学】
2022年4月第2週〜席題で一句〜
燕(つばめ)「春-動物」の季語
① 基本季語=燕(つばめ)
「春-動物」の季語
初燕低く飛び来て避けにけり 1点
燕の巣築百年の祖父の家 3 点
朝燕二階の窓を開け放つ 1点
若き叔父燕の出入る屋根裏に
徒広き田畑や燕交錯す
8
自治会費集める役目四月かな 十河 智
the role of collecting membership fees for the residents' association ;
in April SOGO Tomoko
一枝に残る桜や夕間暮 十河 智
at dusk ;
an only branch with remaining cherryblossoms SOGO Tomoko
9
今日は庭に咲いているテッセンと雑草のマツバウンランを摘んできて、生けてみました。
今、短歌と俳句、作り比べることにハマってます。実験的です。やはり俳句の余白が好きかも。
①
阪急はやはり上品高槻のマスクもおしゃれ駅も綺麗で 十河 智
春霞阪急に乗る人に品 十河 智
②
うるほひを得んとて小花摘みにけり松葉海蘭帰化せしものを 十河 智
淡く咲くマツバウンラン束にして 十河 智
③
ふと過る吾は呆けか老いたるか記憶予見に惑ひありせば 十河 智
充分に生きて老いけり春満月 十河 智
[ (追記)
【俳句大学】投句欄 に投句しています。
「一日一句鑑賞」という欄があって、今月は 辻村麻乃先生が選者です。
私の句をお採りいただきました。
充分に生きて老いけり春満月 十河 智
【俳句大学】投句欄より
〈 ❋4月23日❋
充分に生きて老いけり春満月 十河智
まだまだお若い作者だが、だからこそこの「充分に生きて」という措辞には深い想いが込められているとわかる。一生懸命子育てをして働いて句も詠んでと毎日を家族のみならず地域や社会のために尽力されてきた。もう思い残すことはない。こんな人生は素晴らしい。それを春満月が優しく見守る。人はそれぞれ体力や体調があって、能力にも差がある。それでも自分の意識の中で頑張ったという達成感を積んでいくことが老いていくということだ。老いることはマイナスではなく人生終盤に向かってのステップアップだと思わせてくれる句。
⭐︎今日のアドバイス
季語を入れたから単純に季感が出るという訳ではない。例えば、その季語のある町、季語を含むことをしていた(過去形)人、など喩えの中や過去の話の中に入れても全く季節は感じられない。
また、取り合わせの句で後からついでに季語を上五や下五に置いた場合も説得力に欠ける。前に述べた伝統俳句の俳句の作り方、季題を先にという意識に学びたい。できたら身の内に季語が入っている事が大切で、そうすれば無理くり季語を合わせるという妙な言葉遊び的な句を避けられる筈だ。〉
返信
〈 辻村麻乃先生、私の句を一句鑑賞に採っていただき、とても嬉しく、ありがとうございました。日日老いを感じて暮らす身で、人生を振り返ることも多くなりました。俳句をやっていてよかったと、この句を引き出してくれた春満月にも、感謝です。智 〉]