2020年10月高高女子会
ーーー舘山寺温泉旅行
2020/10/29
十河 智
アフターコロナの初めての旅である。
ゴーツーキャンペーンの恩恵に預かり、かなり安く行くことができて喜んだが、つい余計な心配をしてしまう。
日本は大丈夫なんだろうか。
ただ、一人急な不参加があった。足が悪くて、みんなに迷惑かけるというのだ。私はそれでも行く方を取った。歩けないところは行って貰えばいい、私はは宿の周りで俳句を作って待つ。そうしてみんなの顔を見るだけで、参加に意義があるというものと思っている。
歳を取った。それぞれに心配事も抱えている。身内に葬式があったり、、夫が少し心配(これは私のこと)だし、楽しいばかりの話ではない。一人暮らしの人を他人ながら看取ったという話も聞いた。最後の上手な迎え方は懸案事項だ。その人の努力に真似はできないと思いつつ、感動した。なくなった方も専門機関に財産管理の相談をして迷惑がかからないよう用意周到だったようだ。とても参考になった。
コロナの感染対策で、あの人この人と話もできず、席の隣くらいと話すのが限度。宿もサービスは最小限。それでもこの旅会、もう20年続いている、終わらせたくない。
舘山寺温泉は、過去に何回か行ったことがある。連れはいつも違うのだが。
少し暑く、湖はよかった。紅葉はまだ。遊覧船には結構人が乗っていた。
乗り合いバスを使えとバスのフリー乗車券もついていた。お買い物クーポンもあって、お土産はそれで賄った。
行きも帰りも京都、大阪、神戸組に別れた。これもいつも通りである。
1
冷える朝目覚まし二つ鳴り終る
直Q便通常運行爽やかに
秋の雲LINEに手書きメモがきて
朝寒の集合場所に立つてゐる
一人づつ現れ笑まふ秋の服
秋気澄む改札口に来ぬ一人
手作りのマスクも秋の袷なる
2
すうすうと秋の空気の換はりゆく
新幹線ひかり二駅爽やかに
秋晴を宿へとフリー切符バス
秋桜の一叢風に戦ぐあり
気の晴れる黄色天まで花梨の実
3
コロナ禍に友と距離感秋寂し
大浴場へ迷路階段マユミの実
4
汽水湖やかもめの遊び薄紅葉
見上ぐれば花梨の実あり葉に隠れ
蟋蟀や朝の湖辺に歩くとき
秋の湖ご当地ソングの碑が立派
漣に秋陽煌めくばかりなり
振り向けばやはり友たち秋の声
秋麗湖よりをりし宿を見て
遊園地横のホテルに昔秋
紅葉まだ浜名湖に島巡る船
東名の赤き橋梁秋高し
開放の窓より素風遊覧船
澄む秋の渡船場にてバスを待つ
秋暑しバス近づくと知らす声
秋気満つ一本道にバス見えて
舘山寺道とふ標草紅葉
柿の実のなる家バスはぎりぎりに
色変へぬ松浜松城は家康の
浜松や鰻で締める秋の旅
秋興や地域限定クーポンも
理不尽は嫌真つ直ぐな秋思かな
復元す鋏新米ご飯粒
桐一葉人に寄り添ひ看取るとふ
秋の旅最後の切符ひかり号
5
うそ寒し目の前をゆく交野行
バスよりの秋の灯宇治も城陽も
6
十三夜旅の俳句を纏めをる