和倉温泉への花嫁のれん電車の旅

和倉温泉への花嫁のれん電車の旅
     2019/11/11
     十河智
一 

《2019年10月28、29日。サンダーバード号金沢行きに、神戸、大阪、京都より乗り合わせました。湖西を通り、金沢へ向かいます。この旅会も二十年くらい続くので、湖西のあちこちに、旅の思い出があります。計画は一人の人におまかせも、感謝しかなく、そんな話をしながらの金沢まででした。》

秋の旅駅ピアノ聴く待ち合はせ
鶴来る九人分のチケットと
栗おこは駅弁が荷を重くして
駅弁に九つ秋の味覚かな
十月尽旅グループの二十年
秋の雲思ひ出誘ふ景色かな
捜し物今度は切符穴惑
子離れ後夫との暮らし山装ふ
湖西線左右に刈田広きかな
秋澄むや金沢駅に乗り換へる

《金沢~和倉温泉は、予約を四ヶ月前にしたと言う花嫁のれん電車でした。私は、ずっと俳句をメモしたりで、いざというとき、いつも電池切れで、写真を撮ることができなくなります。このグループで始めたラインは、写真を簡単に送って貰え、重宝です。予約ということを知らない客がいて、降ろされていました。世話してくれる人にまた感謝です。お弁当も予約であるらしいのですが、それぞれ乗り込む駅で買った駅弁を食べました。和倉温泉に到着すると、
駅員が総出でお出迎え。びっくりしました。花嫁のれん電車ではそうするみたいです。》

竜田姫花嫁のれん電車へと
秋容を撮る段電池切れスマホ
花嫁のれん電車満席紅葉時
予約無く降ろされる人末の秋
能登の秋四人三人二人席
秋寂ぶや和倉温泉駅に立ち
金風や法被で総出花のれん


和倉温泉の宿は、ホテル海望・白鵬殿、七尾湾の眺望が見事な所でした。
 ホテルにマスコットキャラクター、わくたまくん。温泉卵の化身のようです。 しかし、このホテルも建て増しなどで入り組んだ造りになっていて、ロビーに来ると迷いました。部屋近くに外階段の非常口を確認。 お食事とお風呂を楽しみました。お食事の時乾杯は食前酒で、ビールを飲む人三人、日本酒は私一人、少なくなりました。お風呂はよく暖まりました。蛇口に「飲めます。」、とあったので、友人が飲みました。塩化ナトリウム泉、当然ですがとっても塩辛かったようです。
昔は、参加者が一部屋に集合、遅くまで語ったし、部屋で寝床に入ってからも、まだしゃべっていましたが、皆すぐに寝てしまいました。
 話したことと言えば、来年のこと。来年も計画することが好きという彼女に頼みました。
 お土産は、岩海苔の焼き海苔、軽いからでしたが、とてもいい香りで、最高のお土産になりました。》
 
ロビーより色変へぬ松七尾湾
晩秋の和倉温泉わくたまくん
また迷ふ広きロビーの夜寒かな
秋灯し秋田美人の仲居さん
二杯目は岩海苔無しで秋の宿
塩化ナトリウム泉夜寒の湯屋に急ぎけり
蟹旨し塩の温泉水も飲み
京都とか高松とかや今年米
ほろほろと温め酒注ぎ一人飲む
皆老いぬ長き夜をただ寝(いぬ)る


《朝、曇り空。コーヒーを飲み、海を眺めています。マイクロバスが出るまでのひとときです。サンダーバードで、金沢途中下車、金沢でクーポンの鮨屋で昼食です。
 金沢駅が昔よく来ていたときから建て替えられていました。きれいです。主人が勤務していたのは小松なので、駅周辺しか知らないのですが、様子が違う感じです。もっとごった返した感じでした、昔は。
 鮨屋まで歩きました。雨が降ってきて、折り畳み傘の出番です。案の定歩くのが遅く、おくれていき、付き合ってくれた人と取り残されました。ラインで連絡が来ました。
「どこですか?」
「橋を渡って、救急病院の辺り。」
 まだまっすぐ行って、五百メートルくらいあるというのです。健脚の人が迎えに来てくれました。予約の時間には間に合って、美味しいお寿司を食べました。金沢駅に行く前に、兼六園を観光する予定なので、タクシーを呼んでもらい、分乗していきました。
やはり茶店のお団子のクーポンを用意してくれていました。待たなくていいし、よく考えて決めてくれています。
 が、私たちのドライバーは、茶屋の名も知らず、地図を見せてもわからないといい、適当なところに降ろしました。また、兼六園の周囲をだいぶ歩きました。別のドライバーは会社に確かめてくれたそうです。外れのドライバーに当たったようでした。歩いて疲れていたので、お団子がおいしかった。
 茶店のの前の松の木のしたに姿よくキノコがひとつ出ていました。うろ覚えの記憶の中から、初茸ではないかと思っていました。帰ってから、兼六園にはキノコを見つけて見学する会もあることを知りました。初茸も確かめました。
 しばらくその辺を散策して、またタクシーに分乗、金沢駅へ戻りました。組合わせは、そのときどきで、これも面白くていいものです。
 今度のタクシードライバー金沢駅の建て替え後、世界でもっとも美しい駅に選ばれたことを教えてくれたり、金の雪吊りのオブジェや金沢の崩れやすい天気のことなど、色々と案内してくれました。失礼かもしれないけれど、当たり、と、思っていました。
タクシー運転手の金沢駅話です。
1 鷹匠の定期的放鷹
2 金沢駅は傘
3 金の雪吊りと金箔を盗る人
 金沢駅でお土産を買う人もあり、四時丁度発サンダーバードに乗って、関西へ帰りました。あまり遅くない時間に皆それぞれ家に着いたと思います。》

朝露の硝子の向かう七尾湾
帰路少し金沢の秋散策を
ローウィン仮装のハローキティー並ぶ窓
[ Hallowe'en costume parade;
Hellow Kitties standing in line by the window ] 
秋時雨この病院に救急車
秋陰の迷子探しにライン良し
植栽に露置く鮨屋予約席
薄紅葉兼六園に門多し
初茸を発見茶店混雑時
放鷹す駅より鳩を遠ざけむ
金沢に傘は必需や秋の駅
雪吊りや金のオブジェの金の箔
最後まで残る切符や秋深し