コロナウイルスとの戦い中

コロナウイルスとの戦い中

        2020/03/01

        十河 智

 コロナウイルス感染拡大の中、まだ安倍総理の決断が発表される一日前のことである。学校薬剤師として出務しているところから、問い合わせがあった。
 卒業式など大事な時期に、教室ごとにもアルコール消毒ができるようにしたいが、スプレーなどの容器も、消毒用アルコールも市中になくて足りない。一件、手指消毒用としている一斗缶入のアルコールがあると言ってくれた店があり、値段が安い。これを使っていいのかどうか、相談したいと言う。
 どこかから返品があって、それだけしか在庫がないという。商品名やラベルでは成分はわからないと店では言っているらしい。結局、店の人も、学校の先生も、私も、メーカーの医療従事者向けのサイトに行き着いて、同じ画面で成分を確認する形になった。
 外皮用殺菌消毒剤とある。
 成分は、100ml中
メタ変性アルコール 52g
イソプロパノール 18g
タール色素青色1号 適量。
 青色色素は変性アルコールの印だが、イソプロパノールのみの混合でも製品によっては色付けられている。メタ変性アルコールのメタというのがよくわからない。アルコールランプの燃料用や、工業製品の洗浄用、医療器具のみの消毒殺菌用とその際の手指消毒用として、メタノール変性アルコールがある。揮発し切ってしまうことが前提の用途である。
 メタの意味するところをメーカーに確認してから購入を決めてください、メタノールが入っているのであれば、密閉空間で持続的に使用する今回の用途にはお勧めできませんとお返事した。
 後で気になり他のメーカーで、同様のものを探してみた。そこにはメタノール変性アルコールと記載されていた。しかもそのメーカーは消毒用としては、これは旧製品、新たにメタノールはすべてイソプロパノールに置き換えたものを出している。人に使う消毒用からメタノールを除くことにこのメーカーはしたようだった。
 そんなこんなで一日過ごしていると、夕方、突然の安倍総理の決断、それを受けて、我が府、我が市も、一斉に休校が決まった。多分学校の今の備蓄分で当面は大丈夫になったことだろうと思う。
 卒業式ができないことは残念ではあるが、全国で、先生方がいろいろな工夫をしている姿がニュースになっていた。在宅授業までは体制が整っていないかもしれないが、娘などを見ていると、親の連絡網はラインなどを利用しているようなので、メッセージを伝える手段はある。子どもたちに、ちょっと変わった卒業の思い出を残してやってほしいものだ。この休校が、新型コロナウイルスという人類の敵との戦いであり、自分たちのためだったと、子どもたちもいづれ理解するだろう。
 私は、別の理由で大学の卒業式ができなかった。今は同窓会の度に、自分たちだけのテレホンカードに収めた卒業写真が思い出に持ち出される。半世紀経っているにも関わらずである。

 アルコールがなくても、石鹸での手洗いでいいですし、水道水を電解する装置で、薄い塩水を電解してできる弱酸性次亜塩素酸水も消毒殺菌に使えます。
 

三月やまた拡大の感染地
春休み前の休校いつまでか
御し難しコビッド19ひなまつり
三月のCoCo壱番屋四人席
春の靄危ふきカフエの漫画本