コロナ禍、あれこれ …… 続き

コロナ禍、あれこれ …… 続き

          2020/04/10

          十河 智

 


 新学期の前の日、学校の養護の先生から電話があった。
 構内を生徒受け入れのために整備中だという。清拭する薬剤の安全な使い方の確認が用件であった。
 この前に非接触型体温計の情報を伝えたことにも対応して、上新電機の予約できたと知らせてくれた。
 学校薬剤師として、役に立っていることが実感され、状況は逼迫して辛いものではあるが、少し嬉しくもある。
 現場の先生は大変である。教室に生徒が入り、出るたびに消毒のために清拭する。生徒間の距離を保つために、40人を二つの教室に分割、その分、先生も準備の手間も2倍になる。
 入学式だけは済ませたという。緊急事態宣言が発布されれば、今日はあるつもりでやっている新学期も休校になるという。ほんとに現場は大変だと思った。

休校と決まらぬうちの春埃
教室に社会的距離新学期
教員の総出コロナ禍春休み  

 


 普段ならあまり電話をかけてこない娘から、「どうしてる?」などと言って電話がかかった。「マスク作っている。」と答える。「送る。」というと、「派手なんは嫌やで。」娘とは好みが違う。派手な分は姪に回そうと思う。
 孫の近況を聞いた。上は中学生になったが、入学式だけはできたそうで、けじめはついたんだと安心した。
 お稽古事も小学校までで切りをつけるはずのものがお別れもせず、中途半端で終わりになっているという。これがこの子達の一生の習い、作法になっていってはいけない、今年限りにしてほしい。ウイルスにお願いもできないけれど、祈るばかりである。
 中学生になって、言われるとやる子供だからと、塾に行かせることにしたらしい。両親だけの見学会というのもあるらしく、二人で数か所行って決めたという。ところが、塾も教室は開かれず、タブレットでの授業となっているようである。そのタブレットを4年生の弟がとても羨ましく思うらしく、邪魔をして困るとも。弟くんはたくましくなるものだ。
 前に話したとき、お兄ちゃんは、「今度入る中学には、カナダに姉妹校があって、交流で行けるんだ。」「選ばれたらでしょう?」「うん、2年生のとき20人だけ。頑張る。」
 まだ学校の授業は始まっていない。見通しも立たない。親がやきもきして色々と試している。やりすぎないでねと、願っている。

入学す塾やお稽古まで新た
新中学生兄の自慢のタブレット
入学式カナダにあるとふ姉妹校
すべて夢コロナ禍中の新学年
親と子の密なる暮らし初燕 

 

コロナコロナ今日眩しくて柿若葉  

a refrain of Covid19 ;
today young persimmon leaves are sprouting and dazzling 

 

 コロナが感染拡大するようになってから、一つ季節が過ぎようとしている。今朝、柿の若葉を、美しいと認識したのだ。雨が上がり、気持ち良い空気になったので、庭に出てみたのだ。初初しく、柿若葉が芽吹いていた。元気が出る緑だった。眩しいくらいきれいだった。

 部屋に戻ると、やはり暗い。ニュースを追う生活。スマホも手放さない。子どもたちのことを言ってられない。中毒になりそうである。
 主人がドライブしようと言うが、億劫で、断った。退屈だが、出かける気がしない。寒かったときに、喘息の状態が良くなく、息が上がる。コロナの症状と同じ。間違われそうである。薬を飲めば緩和するし、熱はないが、外に出たくない気分だ。
 電話をかけて、孫の声を聞く。元気そうだ。公園には出かけるようだ。ピアノの個人レッスンは、親が心配になって、お休みにしたという。算盤や塾は学校と同じで休みになり、彼らもゲームに偏りがち。なので公園くらいは行かせなければ持たないと親は言う。
 大きくなって、少年の声、二人がおばあちゃんをからかい、名乗りを逆にするので、わからなくなる。
 まあ楽しい電話で、元気で良かった。時間がつぶせた。

亀鳴くや聞き分けられぬ孫二人
退屈の極まり春の午後電話