77歳の誕生日、サンマルクへ出かけました。

77歳の誕生日、サンマルクへ出かけました。

        2023/12/2

        十河 智

 

 昨日は祝う気にもならない77歳の誕生日でした。一昨日、主人がいつもの外食、「ココス」や「さと」よりも少し張り込んで行くところ、奈良の「サンマルク」学園前店に誘ってくれました。サンマルクは、昔は寝屋川にも店があったパン屋さんで、レストランも併設、寝屋川のお店も雰囲気があったのですが、何故か北河内にはおいしいパン屋さん、ケーキ屋さんがが多い激戦区で、寝屋川のサンマルクは閉店してしまったのです。うちの家は、寝屋川でも四條畷寄りで、生駒を抜ければ、奈良にすぐ行ける。車を運転できる間にと、少し遠くても奈良には季節ごとによく出かけて行きます。

 サンマルクでは、常連になり、誕生日を知らせておけば、割引券のついた葉書で、お祝いしませんかと誘ってくれます。いつもそれを使わせてもらうのです。その日のテーブルには、蝋燭の仄暗い雰囲気のある明かりが揺らぎ、何故か一本の棒を小皿に立てておいてあるのです。最近は随分食が細くなって、頼んだコース料理が最後で辛くなり、デザートと、そのうえに誕生日ということで、お店からと誕生日のケーキが追加で出されたのだが、それも手を付けられなかったのです。そんな食事の間にテーブルの上の一本の棒が線香花火だったと火を付けてもらってわかりました。上に向けての線香花火、やはり終わるまで見入ってしまいました。まあ趣向を凝らすというのか、店のスタッフに企画する部門があるのでしょうね。家庭の中のイベントとして着ているお客さんの思い出づくりを盛り上げようとしてくれていて、スタッフの気持は伝わりました。

 食事をこうして雰囲気良くすると、帰りの気分は上上、とても楽しく嬉しいものです。いつも通る道が違って見えます。夕暮れ近いトンネルもいつもより明るい気がします。このトンネルのお陰で、奈良がすごく近くなりました。私が北河内に住み始めた頃からが、この地域の道路が整備され、拓けて過程を゙見せてくれる時代でした。結婚は28歳、来年で50年になります。過ぎてみれば、あっという間とよく言う言葉が実感のこの頃です。人の一生が長くなると、物の見方や価値観にも変化が生じてきます。昔に聞いた、五十年百年持つ家というのは、なにか特別の感じが有りましたが、粗製乱造の建売を別にして、実際はどの家も直し直し住めるものだったのです。この住宅団地も、ディベロッパーの建て売りはことごとく建て替えられていますが、住人が個人で建てた家は、外観の経年変化があるくらいで、しっかり建って堅固です。

 この歳になると、特別な病がなくとも余命について、考えてしまいます。一つ年をとりました。一年短くなったわけでもない、ゴールが見えたときは終わるマラソンなのかなと思って、走っているのです。ゴールどころか来年の誕生日さえ、確かなものとしての未来が思い画けていない。同窓会では、「また来年」と言って別れると思うが、近年、開会直後に幹事が、物故者の名簿を読み上げ、黙祷を捧げるようになってきており、ついに、最後にしようといった同窓会もある。実に確実に人生の終わりを生きているように思う

 

枯芒道なき道でありし頃

トンネルを抜ければ街の冬灯

年の暮百年短かしとぞ思ふ

十二月二日祝うて線香花火かな

人生の終わりに近き小春日に

物故者へ黙祷をまず忘年会

日記買ふまた来年の不確実