寝屋川市薬剤師会50周年記念誌が発行されました。

寝屋川市薬剤師会50周年記念誌が発行されました。

          2022/12/30

          十河 智

 

寝屋川市薬剤師会50周年記念誌が発行されました。

 

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 私達が卒後50年の薬学部同窓会をついこの間開きましたので、結婚が卒後4年目でしたから、私も案外早くこの会の会員に収まっていたということに今頃気づきました。

 最初の頃は単に同業者の懇親会、年に一度の宴会のための会費でしたが、医薬分業のうねりの中、そしてその定着していく過程では、かなりの活動の拠点であり要となってきました。今は、大切な医薬品や業務上の安全警戒情報の発信や中継地点としての機能が薬剤師会事務所に求められています。そのような道程が、この五十年誌にはびっしり書かれています。

 欧米における医薬品投与の際の分業によるダブルチェック、棚のものを集めて袋に入れるだけと言われていたその頃の我が国の薬剤師には、遠くてアルプスよりも高い理想の薬剤師像でした。処方箋に明らかな誤記があるとき以外、医師に何かを言いに行くということはありませんでした。

 そして、大学生の頃、サリドマイドの事件がありました。その頃、薬害と言われる事案が、重なって起こったのです。そのメーカーに努めていた先輩の苦悩も直接聞きました。まあそんなことは、この本では、あまり多く触れていません。そういう負の歴史を経て、我が国でも医薬分業が進んだということは事実です。それまでは、私が勤めていた調剤薬局のように、身内に医師と薬剤師がいる、といった院内の分業に極めて近い形しかありませんでした。

  この五十年誌の刊行でいろいろと思い出すのですが、その後、制度がしっかり支えるように構築され、薬剤師も6年制教育となって、医薬分業が確立しました。

 職務の関係や教育の内容から、医師が薬の効用に目が行き、薬剤師が効用と同時に起こり得る不都合にも目が届くのは、当然といえば当然なのです。薬剤師の見る薬は、物、化合物なのです。人の体の中にある化学的機能を示す受容体、化学物質との離合や体内での動向が関心事なのです。物の体に対する影響力の強弱、効用と毒性の強弱、そういう側面に目が向いています。

 私は、ワクチン接種の際の問診前の聴き取りのお手伝いをするくらいしか、今はしていませんが、現役の頼りになる薬剤師たちに、薬に関する疑問は尋ねてください。疑問をより良い質問に変えての医師との橋渡しもできますし、直接の答えを用意できることも
ありますから。