2021年夏の話

2021年夏の話

        2021/06/17

        十河 智

 

(コロナ禍、すぐに終わると思っていた。だが長引いている。すでに夏。

 この夏の話を書いておこう。)

 

私達のコロナ禍の暮らし

 

 去年お正月はシンガポールで過ごしていた。思えば別世界であった。全世界から人がシンガポールに集まってきていた。

 日本ではコロナ感染の緊急事態宣言が2020年3月から5月、2021年1月から3月、そして現在、2021年4月から6月、3回発出された。

 その間に、2021年6月15日現在、累計感染者 776,319人、死亡者数 14,136人、未だに感染性の強い変異株に置き換わり、感染拡大がぶり返す可能性もあるのだ。

 

毎日新聞の6月17日の記事。「アメリカでのコロナ感染者スウが3300万人、死者が60万人。昨年1月に最初の感染者、2月に最初の死者が報告されて以来の数字で、バイデン大統領は、演説で、この一年間のアメリカのコロナ死者数は二つの世界対戦とベトナム戦争で合わせたアメリカ人死者よりも上回ると指摘した。」)

 

 日本では、この1年間で、感染防止対策が徹底し、体温測定、アルコール消毒、マスク着用も普通になった。

 また、この一年間、私が電車に乗ったのは、3回だけ。西宮の神戸芸術劇場であった知人ピアニストのコンサート。今年に入ってまだ感染が緩かった京都、がんこ寿司での高校同窓女子会。大阪の天王寺の美術館の日展。どこの会場も、入場者のマスク体温測定、アルコール消毒は必須で、会場としての人数制限、換気が加わり、完璧であった。

 コンサートと日展は夫婦で行った。思えば、こんなに夫婦が一単位として密着行動したことは今までなかった。コロナ禍のおかげで仲良く歳を取っている、とも言える。毎日が日曜日、老人世帯なので、普段の土、日は外出しないようにしている。コロナ禍で、人が来ていないだろうと踏んで、一度日曜日であるということを失念し、道の駅に買い物に出かけたとき、駐車場で待つほど人で溢れていて、入らずに行き先を変えたことがある。多分、このご時世の閉塞感に、日頃行かないけど、ほんの少しの楽しみプラス・アルファを求めているのだ。

 週日には、国道170号線を端から端までドライブ、どこかのコメダ、スタバ、ガスト、王将でお昼ごはん。大きいところがいい。2時頃になるとどこも空いている。(娘は、行くなというが、一日一度は外の空気を吸いに出たい。)

 帰りに、ライフ、オークワ、パルコープの店、その何れかによる。買い物は2週間に一度くらい、大量に買う。これも3時頃だと余り混んでいない。帰宅後、肉や魚を夫婦二人の一回分ずつ小分け、冷凍庫、氷冷室、冷蔵庫と、使う順を考慮して、保存する。冷蔵庫はほぼ満杯になる。賞味期限は経験上の判断優先で、あまり気にせず、冷蔵庫がほぼ空になるまで、間では、牛乳や卵、野菜を足すくらい。そのときには、ぱぱっと買って、なるべく店に長居をしないようにしている。

 大量買いの片付けは、私一人でささっとやる。そのほうが早い。主人は、もと店舗だった別宅に行く。大型テレビを置いてあって、家で見ると文句を言われる野球やサッカー、録画している時代劇を見ているらしい。この家は、ついこの間、片付けて、手放すばかりになっていたが、今は適当に夫婦が距離を置ける緩衝帯の役割をしていてありがたい。「すももへ行く。」あるいは、「別荘へ行ってくる。」と言って、私から逃げる。最近めっきり遅寝遅起きになってしまい、食事の時間も2時間ずつずれてしまった。それでも夜は、夫が逃げている間に、案外きっちり夕食の料理して、ゆっくりと食べている。買ったものを計画的に使う。

 主人も私も、運動する質ではない。今はいいが、運転ができなくなる日が近づいている。そう思いながら、このコロナ禍を、車に頼って、暮らしている。やり過ごしている。

 出掛けない日はスマホ。最近は俳句や原稿は、スマホのメモアプリを利用する。フェイスブックにも俳句を中心に、今までとは違う超結社的お友達ができた。コロナより前から始まっていたが、見る時間、入力している時間は確実に、この一年で増えている。依存症に気をつけなくては。

 私は喘息持ちで、機能的に歩くのに不自由はないが、すぐに息が上がる。暑い日などは熱中症とも重なって、死ぬ目にあったこともある。それでも、俳句の通信句会への投稿のために、ポストへ出向くときなど、町内巡りや、近所の公園への散歩は楽しい。俳句のおかげで、季節の移り変わりが五感を揺さぶってくれる。一人がいい。休みながら、自分のペースで歩くことができる。

 しかしこんな生活は気分を参らせる。何事も鬱陶しく、億劫になる。早く元の人と交わる暮らしに戻りたい。句会に行きたい。将棋をさせたい。旅に出たい。

 

いつも二人飽きもせずカートにトマト

ドライブの国道かき氷の旗

夏の夜やスマホの電池警告音

マイペース梅雨の晴れ間を歩きけり

冷蔵庫より肉じやがの肉といも

コロナ禍の死者感染者鰻食ふ

海亀の子を産む浜に変はりなし 

 

 

 

2 

学校のコロナ対策

 

 学校なども対策が軌道に乗るまでは、先生がたも試行錯誤が続いていた。去年は、年度代わりを挟んで、卒業式、入学式、新学期と、コロナ対策事始めであった。学校薬剤師である私にも、春から夏にかけて、相談や問い合わせが多かったように思う。

 

 まず体温計が市場から消えた。ドラッグストアや薬局にないと、先生から言ってきた。3月卒業式の頃だった。

 コロナでは、今は常識になった非接触型体温計、薬局などでは卸が医療機関に繋がっていて、そちらからの注文を優先させる場合が考えられた。医療機器のカタログ販売でも同じことが起きる。系統を変えて電気店で探してみた。上新電機で、現物はないが注文を受け付けるというので、先生方に連絡した。

 入学式には間に合った。

 

 次に多かったのがウイルス除去を標榜する製品の品定めであった。

 アルコール製剤にも用途により規格があり、消毒や殺菌には向かないものもある。

 例えば、食品添加物として鮮度を保つ用途のものは、ウイルスの除去には向かない。

 たまに、酒造メーカーが作り売り出すアルコールがあるが、成分はエタノール、濃度も消毒用として十分な濃度であっても、局方品としての規格を満たしているわけではない。品薄のときは緊急避難的に使ったとしても、手に入るのであれば、学校では十分に品質が保証されたものを使うべきであろう。

 薬局方製剤にしても、成分として、エチルアルコールイソプロピルアルコールがある。イソプロピルアルコールは、教室の清拭で、完全に揮発拡散させる場合は使ってもいいが、手指消毒など、子どもたちの体内に移入してしまう状態では、多用は勧められない。ただ、エタノールの方には酒税がかかり、高価であるので、使い分けが必要である。

 また工業用エタノールは、工具、機械の洗浄用が主な用途なので、酒税を免れるため、人体に有害なメタノールが混ぜられている。子どもたちの教室には絶対に使ってはいけない種類のものである。

 以下は、実際にあった問合せと対処である

《インターネットや、カタログで見ると、アルコールの規格が様様で、どれを選んでいいかわからない。ーー

 見ている画面、カタログを確認し、説明した。》

 

《市や教育委員会が、寄付を受けたあまり耳慣れないウイルス除去製品などを送ってきたが、清拭に有効か。ーー

 一般的な細菌に対する殺菌効果の試験成績しかなく、コロナウイルス対策としては使えない物が殆どだった。添付の試験成績書がない場合は製造元のHPなどで調べた。今の時代はこういうところは便利になった。》

 

 コロナ蔓延に伴い、学校での子供の掃除というのが一時的になくなった。先生が感染対策の拭き掃除をやることになった。養護教諭が、感染対策清掃マニュアルを作り、教職員総出で放課後に清掃をやっていると聞いたことがある。

 この学校では、清拭用の消毒剤は、次亜塩素酸水を選んでいる。6月頃には、厚生省のHPに、コロナウイルスに有効な清拭用薬剤のデータが発表されてきた。次亜塩素酸水も、物を拭いたあとの殺菌効果を認められている。後は水に戻るので、二度拭きしなくてもいい。広範囲の清掃には、費用もアルコール製剤よりも安く、使い分けるようになってきた。

 

 学校行事はほぼ中止となり、プール授業も着替の場所での密を避けられないと、行われなかった。音楽から歌が消えた。子どもたちのソーシャル・ディスタンスを保ち、感染を防止する方策が様様練られた。

 

 家族に感染者がでると、その状況によっては、クラスや学年出席停止の措置が取られる可能性があった。幸いにもこれまで学校の中で感染拡大が起き、PCR検査で陽性者がでるということは聞かなかった。当該家庭の児童生徒だけ、陰性であっても、2週間の自宅待機となったが、その間もリモート授業を受ける。学級での授業をそのままインターネットで繋ぎ、同じ授業に参加できる形式だという。この様子が、テレビでニュースになっていた。日程調整で学校に電話連絡すると、ちょうどそのリモート授業の準備中で忙しい様子だったこともあった。

 秋、冬の検査業務には学校に出向いたが、その頃には、体制が整い、感染が波状攻撃のように起きてはいたが、対応のマニュアルがきちんとできていて、落ち着いてきていた。

 去年一年間、先生も初めての事だらけで、学校全体で取り組んでいる様子が見えた。こうして去年度が過ぎていった。

 

 今年度もプールの授業はやっていない。だが、一部の中学校で、感染対策ができる体制で部活の水泳が復活した。遠足などはまだのようだが、運動会はするようだ。ただ、運動会練習中の熱中症がよくニュースになっている。こちらも気をつけなければとは思うが、コロナのことを思うと、体育館での密集や激しい運動は避けなければいけない。痛し痒しである。

 学校薬剤師の仕事も、去年のコンサルタント的な相談への回答ではなく、本来の環境検査業務が戻ってきた。

 子供たちも、コロナ禍の生活に慣れてきているようで、午後4時頃の、マスクをして、下校する姿は、楽しそうである。

 

学校を拭き上げてゆく涼気かな

リモートで教室にゐる更衣

中庭の向日葵窓は全開で

今年また泳がぬプールありにけり

コロナ禍の夏の下校時マスクして

 

人類とコロナワクチン

 

 ワクチン接種は去年12月から、アメリカとイギリスで始まった。その後、日本でも医療者、高齢者、と順に接種が実現してきている。

 従来ワクチンといえば、不活型と言われるものが多かったが、コロナウイルスワクチンは、急を要している、効果が確実にある、という社会の要求が強く、様々な手法でアプローチが取られ、接種を進めながら知見を得ていく最速の少し乱暴な実用化が進められ、しかしそれが功を奏して、感染が抑えられた国が見られるようになった。

 

以下、ワクチンについて、厚生省のHPより抜いて、貼り付けておいた。

 

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ワクチンの種類

 

 国内・海外において、不活化ワクチン、組換えタンパクワクチン、ペプチドワクチン、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン、DNAワクチン、ウイルスベクターワクチンなど様々な種類のワクチン開発が行われています。

 

 不活化ワクチン、組換えタンパクワクチン、ペプチドワクチンは、不活化した新型コロナウイルスの一部やウイルスの一部のタンパクを人体に投与し、それに対して免疫が出来る仕組みです。

 

 メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン、DNAワクチン、ウイルスベクターワクチンは新型コロナウイルスの遺伝情報をそれぞれメッセンジャーRNA、DNAプラスミドとして、あるいは別の無害化したウイルス等に入れて、人に投与するものです。それが、人の細胞に入り、ウイルスのタンパク質を作ることによってウイルスのタンパク質に対して免疫が出来る仕組みです。

 

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 ファイザー社、武田/モデルナ社のコロナワクチンは、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン。

 アストラゼネカ株式会社のコロナワクチンは、遺伝子組換えサルアデノウイルスベクターワクチン

 

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話を続けよう。

 

 ワクチンがこんなに早く実用化され、生産も供給も総力が結集されて順調に見えるのは、すごいことだと思う。研究開発、生産、流通の各段階で、迅速で的確な対応があったことを思わせる。

 

 世界人口78億7500万人、世界中のどの国にもワクチンが行き渡り、人類がコロナウイルスを手懐ける日の早からんことを心から願っている。

 

 ただ、ワクチンの生産は、全人類の規模に対してまだまだ足りず、デルタ型という変異株の蔓延速度はワクチンの供給・接種の拡散の速度を凌駕する勢いである。

 現にファイザー、モデルナ頼りの日本でも、供給不足の兆しが出てきている。

 国産ワクチンも遅れてはいるが、開発中とある。全世界の人が接種するためにはまだまだ足りないし、接種が毎年のことになるかどうかもわからない。

 日本発のワクチンの不発の要因は、治験の事例数が感染の広がりがなかったために、承認に必要なだけ得られなかったこととも言われている。

 制度に忠実ということも必要だが、緊急事態ということの中に、ワクチンの第3相と第4相の同時進行のような方策はないのだろうか。または外国での治験を必要量実施できる体制とそのデータも認めて承認へということも、あってよいのではないか。あまり、治験、承認について現在の法律には詳しくないのだが、そういった議論を漏れ聞いたことがある。ファイザーのワクチン承認には、緊急事態を受けて、政治的判断もなされ、承認から製造体制構築まで、それは迅速であったという。

 製薬会社にコロナワクチンについての製法などを、人類のために公開し、特許使用の自由も与える様促し、世界のあちこちで製造する体制を整えたいと、WHOなどは考えているようであるが、実現には、製造工程における技術不足、貯蔵・在庫・運送過程、全ての側面での衛生管理、品質管理の不適切、など問題も多く難しいようだ。

 ワクチンの製造は、単なる物質の合成ではない、生化学的複製の技術があり、技術的に特別なのだ。ウィルス、DNA、RNA等、特別に管理の難しいものを原料、主薬にしていて、扱うには技術者だけでなく製造工程の要員にも、熟練が必要である。今のところ、大元のメーカーが生産の規模を大きくする方法が一番であるようだ。

 運送にも普通のコールドチェーン以上の厳格な温度管理が求められる。日本でも今の配送体制が構築されるまで少し時間がかかった。

 真の原因は定かでないが、日本のワクチン接種会場において、管理上の不手際から廃棄処分となったワクチンもかなりあるとニュースになっている。

 今現在、アストラゼネカのワクチンが日本で製造され、途上国支援に使われている。願わくば、安価な 日本発のワクチンが、何種類か開発され、国内生産が進むことがあればいいなと思っている。

 また、今の認可済みワクチンも改良により、扱いやすいものになっていけばと願ってもいる。

 普通はこれらのことは、やり尽くした上での実用化なのであろうが、コロナウイルスの勢いを削ぐためには、先ず防衛手段を持たなければならなかった。人類とウイルスとの大戦争という視点からの判断が必要だったのだ。

 

夏のマスクこれは戦と思ふべし

半夏生感染死者の棒グラフ

ファイザーのワクチン片肌脱ぎの我が腕に 

 

コロナワクチン接種の現場 

 ー薬剤師としての出務

 

 ワクチン接種の接種券の配布の仕方や接種の方法などは、市町村によっていろいろらしい。

 私の住む市では、かかりつけの医院での個別接種よりも、小規模集団接種会場での接種が主のようです。

 集団接種になると、かかりつけ医と違い、状態の把握がでできていない被接種者からの薬歴、アレルギーの既往歴の有無の聞き取りが、接種前に必要で、その要員として、薬剤師にも動員がかかるのです。

 平日は市のコミセンや体育館、市民に馴染みのイオンモールの8会場、14時から17時、医師のブースは1個から4個。これに土、日は、学校の体育館を使って5会場くらい増やす。朝10時から13時の回も増やされます。

 毎日のことで、会場数も、医師ブースの設営状況によっては、受け入れ予約者は増えるので、スタッフも増員される。全体で薬剤師も毎日15人程度出務しているだろうと思われる。土、日は規模の大きい学校体育館の会場が加わるので、倍くらい30人程度動員されていると思います。

 私のような年寄り薬剤師に出番は来ないだろうと高を括っていましたが、まだ足りないと、薬剤師会からファックスでの募集が繰り返されると、やはり協力しなければと考えるようになったのです。

 チェーン薬局の勤務薬剤師の若い人が相棒になったときに聞くと、土日やローテーションの空きのときに、ワクチン接種に出務しているという。休みを削っているらしい。日常業務に組み込んでいるわけではなく、あくまで個人的に引き受ける形で、上乗せして働いているようだ。

 市の設営する会場以外に府の大規模会場への要員募集も来ていた。大規模会場の場合は、注射薬の受け取り、保管や希釈も業務になるようで、これは、現役世代でバリバリ動ける人でないと務まらないと思う。

 私が薬剤師として出務のとき、風体から、必ず、入り口で、接種を受けに来たと間違われて、時間まで待てと制止が掛かります。なにせ白髪のヨボヨボのおばあさんですから。水戸黄門の印籠のように、「何度も薬剤師です。」も繰り返すので、少しうんざり、辟易としている。

 接種を受けた日の前日、同じ会場で、薬剤師として出務しました。小学校なので土、日だけ、市のスタッフのこのグループが慣れていないのか、私の出務は3回目でしたが、薬剤師ブースに用意すべきものや、薬剤師が点検する事になっている救急用カートの中身にも不備があったり、大変な状況でしたし、この日の会場設営では、接種に来た方の動線も悪く、行ったり来たりがわからず戸惑う人が多かったので、他の会場のように、受付から問診票の点検、薬の確認までを一直線に置くべきと日報に書き入れておきました。

 翌日、被接種者として訪れると、薬剤師ブースの位置が変わっていて、被接種者の導線が改善されていました。受付で「昨日はどうも。」とご挨拶もありましたが、業務日報に思ったまま苦言を呈して、改善されたのは、良かったと思います。

 薬剤師がお薬手帳や聞き取りで確認することとして、はじめは、筋注後の出血防止のために注射部位の圧迫を促す注意をするために、抗凝固剤、抗血小板薬の服用の有無を確認するだけでした。

 そのうちに、アナフィラキシーファイザーで一定数出ているというデータが上がってきて、最近はアレルギー、アナフィラキシーの既往も聞くように、となりました。接種後の一般的な待機・観察時間は15分ですが、既往の人は30分とするためです。

 ごく最近は、私の住む市の接種会場でも、結構アナフィラキシー様の事例が見られて、救急車を呼ぶこともあるのです。現場での応急処置と、迅速な救急搬送で、後は回復していて重大な結果にはなっていないようです。そんなことから現場で処置を行う医師から、処置に使うアドレナリンの効き目を弱めるので、β− blocker の処方があるかどうかも、予めお薬手帳で薬剤師が確認を、と申し入れがあったそうです。十分ではないのですが、数も多いので、アナフィラキシー既往の人だけ、確認するようにしています。

 エピペンを常時携帯している人は、既往歴を聞く前に申し出てくれます。

 「アナフィラキシーは、30年以上前に起こしたが、それ以降は皆無、起こしていない。」と言う人が案外多いのですが、ひどい目にあった経験から、原因物質を忌避した生活のおかげかもしれません。薬剤師会からは、そういう事例も漏らさず聞き取るように指示されました。用心には用心なのです。観察時間15分の差ですが、それが大事なのです。

 幾重にも大事にならぬ様、防御しつつ、コロナワクチンが行き渡る様、協力して、この危機を乗り切りたいと願っている。接種会場にはそういう空気が漲っている。

 

小満や緊急事態宣言下

梅雨湿り今休業中のモール街

梅雨の闇抜けてその奥接種会場

今日薬剤師明日高齢者芒種かな

海の日やオリンピックがすぐ間近 

 

コロナワクチン接種の現場 

 

✱1回めの接種

 マスクをしての外出から開放されたい。そう思って、市の大規模集団接種に予約しました。

6月6日、日曜日、自身も、1回目のコロナワクチン接種(ファイザー製)を受けました。

 その前の日、薬剤師として出務した小学校の会場へ、立場を変えて行きます。面白い経験でした。

 被接種者として流れに乗るととてもスムーズです。なかなかうまく考えられてラインが組まれています。

 市の係員はスタッフ側にいると多いなあと感じましたが、こうして、指示と誘導をされる側に入ると、必要な人数だとわかります。距離を保たせ、滞りなく流すためなのです。

 医師は、予診のところで摂取可の判断をしています。見守りのところにもうひとり待機していました。薬剤師の席には知り合いが座っていました。看護師さんも打ち手、見守り、救急要員と、それぞれ役割分担、実際は打ち手のみが動いているのですが、要員としては、他の2つの役割も必要不可欠です。案外と気分悪くなったり、アナフィラキシー様の症状で、救急搬送ということあるようです。(なにかあるときは、応急処置の後、原則、救急車。)

 皆専門職で、寄せ集めですが、それぞれの本分を全うしています。自分がそのレーンに乗ってみてよくわかりました。

 第1回め接種後、痛くもなんともないですが、体がだるくて眠たく、帰宅後4時間位爆睡。

 広い会場を結構歩かされるのと、あちこちで待たされるのも疲れた原因かと思います。

 2回目の予約も、やってくれるというので、順番を待ってやってもらって帰りました。

 1回目の予約に手こずったので、少し待ってもこの方がいい。楽でした。

 主人の接種券が届いて次の日に私のが届いて、2人分同時に予約したいと思いましたが、電話は全く通じません。ネットで市のHPのサイトを探し、予約したのですが、行き着くのにとても手間取りました。接種券の番号文字が小さいし、1人ずつ、別々だし、2人分、同じ時間に予約できたのが奇跡的。もたもたしてる間に予約番号が1000番も差ができてました。

 2回めの予約、接種会場でやってもらったら専用サイトがあるのか、すぐできて、2番違い。慣れている人がやるというだけでもなさそうです。ほんとにあっという間に予約できました。

 

✱2回めの接種 

 3週間後の6月27日、2回めの接種を、同じ会場で受けました。

 スムーズに進んで、終わりました。アレルギー体質の私は30分待機となり、主人を少し待たせましたが、午前中だったので、お昼には家に帰っていました。

 50歳前の娘は、医療従事者枠で、すでに済ませていて、翌日、元気にも関わらず、高熱が出ました。それで、その日の晩と次の日電話で様子を聞いてきました。二人とも、接種部位の痛みはひどくあるものの、熱もふらつきなども全くありませんでした。私は1回目のほうがしんどかったくらいです。

 ほんとに免疫ついたのかなと心配なくらいですが、テレビで説明を聞く分には、大丈夫そうなので、3週間過ぎたくらいから、行動範囲を広げたいなと思っています。

 ただそれでも、生体としてウイルスを受け入れ感染の媒介をするおそれは少し残るそうです。マスクはまだ当分外せないとわかりました。

 広報される注意にアンテナを立てて、守りながら暮らさなくてはと、最近の感染者状況を見ていると改めて感じているところです。

 

梅雨晴の山の学校接種の日

マスク外す日はまだ遠く雲の峰