故郷の休暇村「讃岐五色台」

故郷の休暇村「讃岐五色台」
         2019/09/01

 7月末から8月中旬にかけて、娘のところと私の家を行ったり来たり、かなり頻繁だった。
 もう一度ゆっくりと静岡へ出掛けるつもりにしていたが、孫とも充分つきあったし、学校も早くになったので、またどうしてもという用事があるときに来て、と言われて、止めることにした。
 空いた時間を故郷に帰ることにした。いつもは弟のところに泊まらせて貰うのだが、一泊は旅気分でどこかホテルにということにした。

 最近、SNS でサヌカイトの記事をみて、小学校時代に遠足にいった五色台を思い出す機会があった。

 以下はその記事に触発されて、[俳句スクエア交流広場]という投稿サイトに書いた俳句と文章である。

[ サヌカイト叩き涼しき調かな 十河智
tapping sanukite stones;
a clear tune of coolness Tomoko Sogo

 讃岐石を題材にした俳句を目にした。懐かしかった。
香川県に五色台という遠足に行く山がある。崇徳上皇の御陵や、野外活動センター、四国八十八ヶ所の札所のお寺、展望台などがあり、またサヌカイトが表面に出てきていてごろごろしていて私が子供の頃は拾える山であった。調律して楽器にすることもあるくらい、澄んだ綺麗な音がする。カンカン石を見つけたと言って、打ち合って音を楽しんだ。 〕

 宿に一泊してごちそうを食べようと主人が言う。五色台へ行こうとわたし。
 たしか五色台には国民宿舎があったなと、夫が20年以上前のガイドブックを持ってきた。そんな古い本役に立つかと思いながら、電話を掛けた。名前は「休暇村、讃岐五色台」と変わっていたが、電話は通じた。 パンフレットを送ってもらい、もう一度電話で予約するという、極めて旧式な方法で予約した。インターネットでの予約サイトは、どうにも確信が持てず、私たちには、不安で仕方がないのだ。
 8月27日は九州佐賀で大雨が降っていた。9時に出発したが、お昼近くに神戸で瞬間大雨になった。だが淡路鳴門、そして、高速を降りて、私に運転を代わった国道11号は小雨と霧ではあったが、比較的移動しやすかった。

淡路島秋霖時に激しかり
淡路行く霧幾筋も立ち上る
霧襖海岸線に沿ひ行けば
運転に集中強き秋の雨  

 その日は弟の家に泊まらせてもらい、義妹の手料理をごちそうになった。

玄関に本整理中秋うちは
秋の宵手料理を盛る器
一泊のための寝具や蚯蚓鳴く  

 翌日、丸亀城に行き、坂出の五色台に戻った。
 丸亀城も久しぶりだった。お堀に蓮が咲いていたような記憶があったが、今はどうしてか、きれいに掃除されていて、水が満ちていた。来てみてわかったが、去年の台風で、自慢の石垣がひどく崩れて修復中であった。寄付などを募っていた。
 また今年始めに、テレビでやっている「池の水全部抜きます」、あの番組をこのお堀でやったと、HPにあり、なるほどと思った。この番組は、寝屋川市も内の近所の池の整備前に参加していて、自治体の申し込みは多いのかも。
 資料館で、丸亀城の歴史をおさらいし、また通路の展示には、昭和初期の農作業道具や、ホーロー看板があった。懐かしく、遠い昔である。

 稲の花祖母の家なる作業土間
 秋の雨錆にまみれて大村昆
 水澄むや石垣崩れたる城の
 修復の未だ成らずに厄日かな
 丸亀城系図に秋思ありにけり  

 五色台へ向かう。少し東へ戻り、山を上る。施設をいくつかやり過ごして、山頂の見晴らしがよいところが讃岐五色台であった。雨は止んでいた。プールは、こどもが二人泳いでいた。もう夕方なので先に展望できる景色を撮ってから、ロビーへ行く。言われた通りに部屋へ。
 夕食に食堂へ行くとき、長い渡廊下を通った。壁にこの付近の景色を撮し、また描いた作品や香川県の広報ポスターが掲げられていた。その一つに、香川の山の特徴のまん丸こさを、おむすび山と言っているのがすごく気に入った。俳句に早速使ってみた。
 食事は量の調節ができるバイキングにしたが、刺身もうどんもおいしかった。
果物も地産が多くて、種類が豊富だった。
 レストランの全面窓ガラスからの夜景を撮ろうとしたが、室内の明るさが勝ち、ガラスに室内が映し出されるので、外が撮れなかった。残念。
 食事の後、部屋に帰るとき迷った。渡廊下の両端にエレベータが二基あったのだ。
 翌日は天気の悪くならないうちに、どこにも寄らず、帰宅した。
 
香川県ポスターおむすび山は霧の中
故郷の瀬戸大橋にかかる霧
山道に思ひ出多き秋の色
山上のホテルに秋のプールかな
秋湿り渡廊下に風景画
エレベーター二基に迷ふや秋の宵
故郷のホテルのビュッフェ秋果盛る
五色台濃霧の瀬戸を見渡せる
夕霧やおむすび山の五つ六つ
秋雨の夜景坂出コンビナート
秋の夜部屋の灯映るガラス窓 

           十河智