大阪ダックツアーと東天紅

大阪ダックツアーと東天紅
         2019/10/14
         十河智

 台風19号が、北を吹き荒れている日、淀川を水陸両用車で観光する薬剤師会のリクレーションがあった。よく知っているエリアではあるが、船から眺めるとまた趣が変わる。船着き場は京阪天満橋駅の八軒屋浜乗船場
 台風の影響で気温は下がり、肌寒い日になっていた。天満橋駅マクドナルドの横から川辺りに出て、しばらく椅子に座って、鳥や流れ、少し色づき風に舞い散る木の葉を見ていた。こちら側は風に揺れる木の葉があったが、幅の広い大川の対岸の木々はしっとり重く動いていない。ビルが程よく天に伸び、この日は空が青い。

台風の残りの風や天満橋
色鳥や八軒家浜乗船場
色葉散る大川辺りの黒き椅子
対岸の並木閑かに立つ寒露
台風一過青透き通る天であり 

 頃合いになり、乗船場受け付けに集合した。川からの入り口は地階になるようだ。地上へ上がり、写真を撮ってから、バスに乗り込んだ。大阪のおばちゃんガイドが大阪人を案内する。まず、船が行き交うとき、お互いに手を振り合う大阪人の習慣、皆さんは普通のことと思っているでしょう、と掴みを入れる。それで普段あまり聞かない話をしてくれる。
 天神橋筋はなぜ安いかとか、造幣局は名前を聞かれるが、無料で博物館に入れるとか、中の島で七夕にある光るボールを浮かべるイベントのボールは水に濡れると光り、高価なので回収する話とか、天神祭テレビ大阪のビルのどこから中継しているとか、その他色々退屈せず面白かった。
 寝屋川は治水工事で流域が整備され、寝屋川市内は淀川に流れ込み、本流はこの大川に流入する。それでかって多かった水害はほんとに減ったと思う。水門の仕組みや、増水の際の放流の様子を話してくれた。川の流域により汚れ具合なども違うのだが、すべて最後は下流に集まると、直前の台風のために浮かぶゴミの島を指して、明日はもっと大きくなるとも言う。上流のものは気をつけなければ、とおもう。
 ダックツアーのキャラクターは家鴨とカッパの合の子、ダッパ君、団扇をくれた。寒いくらいなのに、必ず扇ぐ人がいる。
 ドライバーと船長は変わるのだが、二人とも、どちらも免許があると説明している。乗り心地は普通の車であり、船であった。水際にいくためのコースが狭く、ドキドキだったくらいだ。

秋冷の水都大阪ダックツアー
秋団扇あひるカッパのダッパくん
穏やかに船は車に秋の声
ダックツアーバス曲がり切りたり花芙蓉 

 お昼はOMMの東天紅、私自身は三十年ぶりくらいだろうか。懐かしい、ここで飲んだ紹興酒を行く前から思い出している。ただ、年を取ってから、お酒にめっきり弱くなり、飲むのをやめた状態なので、あれば、誘惑に勝てるかな。
 お酒のみは、乗船場からOMMへの天満橋駅の構内でも、伏見の新酒飲み比べイベントが行われていて、そちらへ回り道して、試飲していた。
 日曜日の会社が入るビルは、人気がなく冷ややかである。東天紅とその上の階に行く人だけがエレベーターで上がる。
 乾杯のビールも形だけにした。紹興酒もなめる程度に飲ましてもらった。ザラメは入れない温めたものを、ほんの少し。ああこれだ、おいしい。
 この会のお楽しみはいつもビンゴゲーム。スイッチを押すと止まるビンゴゲーム用の数値表示板まである。当たり賞品は現地調達したようで、通り道の駅ナカので売っていたチョコレートだった。参加賞もダカッパ君のバッジ。
 次の大きい行事、市民向けの「薬と健康展」を成功させようと約して、お開きとなった。

秋寒やイベントに人呼び止めて
新酒試飲京伏見よりきてゐたる
天満橋駅スクランブル天高し
日曜日秋冷のビルエレベーター
名店の温められたる紹興酒
蛇穴にビンゴゲームに興じけり