リアル句会は久しぶり

リアル句会は久しぶり

        2022/09/15

        十河 智

 

 昨日は淀川を久しぶりに渡り、大山崎まで句会に出向いた。行きは車で高槻まで送って貰い、阪急に乗る。帰りは、大山崎駅前で句会の打ち上げを皆さんと楽しんで、高槻まで電車、枚方行の京阪バス枚方大橋を渡る。7時過ぎになっていたが夕景が灯り始めて綺麗であった。枚方パークもあるので、夜景は結構賑やかなのだ。

 昨日は枚方寝屋川間を電車にしたが、バスが好きで、多少遠回り時間がかかるが、ターミナル間のバス路線を乗り継いだりすることもある。

 車で自分で行けと言われるのだが、一人で20キロ以上の往復に自信がない。お酒は飲まないが、皆さんとの居酒屋での打ち上げは楽しく、帰りが少し遅くなるし、駐車場など車は動きを制限する。一人で自由に動くのはやはり電車バスがいい。帰り着くのは9時近くなる。実はバスの乗り換えも喘息持ちは喘ぎ喘ぎなので、バスが出ようというタイミングに出くわしても走って追いつくということができず、全てに於いて、時間を食うような行動パターンになるのだ。

 それでもマイペースで参加できる句会があると喜んでいる。もともと参加していた句会が、お世話役の都合で、コロナ後も引続きメール句会ということになり、いまリアルで句友たちとあって楽しむ本来の句会は、ここだけである。

 メールやインターネット、夏雲システムの句会も、いろいろな工夫があって、交流が楽しめるようになってはいるが、物足りない。現に昨日お会いした方で、長くお名前は知っていたのだが、はじめてお顔を知ったし、お話もした、そういう方もいらっしゃる。一度お会いすることがすごく親しく感じられて記憶に残る。ズーム句会には参加したことがない。こちら側は一人というのが大いなる不安であるのだ。私はインターネット社会に実は心底馴染んでいないのかもと、スマホをこうして打ち込みながらも、疑っている。

 


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 写真は句会場で頂いた句誌。ときどきこういう恩恵に預かり、めったに読めない俳人の句も読ませてもらえる。ありがたいことだ。

 著名な方々が多く参加されているいい本だった。岸本尚毅さん、五島高資さんも、ネットで読ませていただいている仲寒蝉さん、お友達ののどかさんも参加していた。以前、現俳の会合でお会いした浜脇不如帰さんの句も、久しぶりに読ませて頂き、熟成されたなと言う感じがした。テーマというか真はしっかり揺らがずに、伝わるものが響いてきた。いい本を配ってもらえたと喜んでいる。

 

[句会に出した句]

 

菊薫る花壇据ゑたるバス乗場

秋の天少年の打つホームラン

昨日今日痛む右手や秋寒し

今年こそ二年無かりし秋の旅

八十の老いは我が事地虫鳴く

      十河 智

 

[往復詠]

 

小学生の秋の生花句会場

秋半ば書道俳句の同好会

高架下花屋の菊の花揺れて

二番めの座れるバスに居待月

枚方の夏の灯パーク観覧車

エスカレーター遠きや階段秋の蚊と

      十河 智

花鳥風月を楽しみつつ、老後である

花鳥風月を楽しみつつ、老後である

          2022/09/10

          十河 智

 

1 染めた菊を生ける

グラジオラス、ワックスフラワー、スプレーマム(染め)



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 この菊の淡いピンクは染めているらしい。表示に(染め)とあった。昔の様ないかにもインクを吸わせて染めました、というような不細工な加工ではないが、どこかに人工的な生き物としては不自然な色ではある。

 これはスーパーで花束として売っていたもので、ピンク以外に青もあった。隣で若い男の子が連れの彼女に「菊の花、珍しい青いのがあるで。買おうか。」と言っていたが、手にとって、染めたものとわかると、止めていった。

 9月になったし、菊を飾りたかったので、自然の白と染のピンクの入った2セットずつを買った。組み合わせはグラジオラスとワックスフラワーのどちらかであった。

 スーパーの売り方はだいたいこういう花瓶に投げ入れていい塩梅の嵩張らないセットものである。私は、床の間に見合うボリュームを考えて、いつも4、5束買って帰る。

 お花は、道の駅など生産者に近いところや、ちゃんとした花屋さんなど、買うところで、それぞれの選び方買い方があって、その段階から楽しい。

 そして長い遠出のドライブで買ったものでも、その後きちんと手順を間違えずに扱うと花器の中で生気を取り戻す。その生き返った姿は、花に褒められたようで、とても嬉しい。

 

2 家を売る

 話は変わるが、今うちのキッチンにはものが犇めいている。

 若い頃調剤薬局を開局していた。店舗の2階では、昼食を取ったり、休憩してお茶を飲むダイニングキッチンになっていた。薬局を閉じてからも、店舗はきっちり片付けたが、2階は、夫の避難場所?として、また私のご近所さんお好み焼きパーティーの、気を使わない開催場所として、10年位そのままキッチンであった。

 年老いたので、このセカンドハウスを仕舞して、売りに出すことにした。3階建てだが、荷物があるのは2階だけであり、片付け屋さんは一日かからず、10万円以下で片付けてくれた。うちに入る不動産販売のチラシで、売りたいと電話して、今売ってもらっている。店舗付住宅なので長くかかるかもしれない。

 まあ成り行き任せである。

 そのうちに運転ができなくなり、本宅にも住めなくなる。現に住宅街では、チラホラと世代交代で、老人世帯は出てゆき、家が壊されて、新築にかわり、若い人たちが子供連れで入ってくる。

 他人事ではない老後がここにある。

 

3 月を眺める

 さあ、外に出て月でも眺めてこようか。住宅街の東の端、池の端。月を眺めるにはいいロケーションである。

 

重陽や現代の色染めて菊

重陽や染の菊なる加工して

秋夕日仕舞ひし家の湯呑かな

家二つ湯呑二つの暮らし秋

名月や明日は晴れると予報あり    

      

句帖を拾ふ(2022/08)

句帖を拾ふ(2022/08)
        2022/09/01
        十河 智 

1
京阪のプレミアムカー秋初め
満月が迎へる家に着きにけり
孫が往ぬ台風8号来る前に
台風の直撃駿河湾の上
一泊の布団仕舞ひぬ秋の夕
食卓は二人に戻り秋涼し(08/13)

2[現代俳句協会インターネット句会]

こういうのがあって、結構たくさんの句の中からの選句ですが、採ってくれる人がいました。

① 第17回協会員インターネット句会

現代俳句協会会員限定)
3句投句
全171句(57人)

[No.40]炎天の路上銃撃大事件

[No.29]手に負えぬ荒れ放題や八重葎

[No.112]ひまわりの四五本ずつが立話 2点
    並:
    並:
※コメント無し

② 合同句会
(協会員以外も可)
2句投句
全366句(183人)

[No.142]暑き夜の停車の後のクラクション 1点
【選評】
深夜に車のクラクションが、人もいないのによく鳴っています。ますます酷暑を感じます。(X)

[No.154]まづパンをそして大輪ダリア買ふ 1点
【選評】
ふたつの取り合わせと、仮名遣いがおもしろいです(Y)

3
花束にするも良し悪し盆の花 十河 智

4
外れしもピンクの百合の花弁かな
千日紅柏葉アジサイ白の間
花開くときを待ちけりすかし百合
百合の花青磁を買ひし韓国館
秋暑し床の間の花生け替へる 
    十河 智

老後の暮らし方

老後の暮らし方

          2022/08/30

          十河 智

 

 最近頓に年をとったと感じる。落ち込んではいないが、少し不安な暮らしだと思う。することが前よりもたつく。自分に苛つく。そんな暮らしを書いて冷静に見つめておきたい。

 去年、今年は、ちょっと出かけるとしたら喫茶店、という以外どこにも行っていない気がしている。コロナウイルス感染症の蔓延防止のためで、およそ人混みと言われるところは避けた。

 だが、年寄2人暮らしだからといって、そうそう引き籠もってばかりでもいられない。話す相手はお互い同士と店での注文のときのみ、それでも出かけると、運転もするし、他の人達の様子を眺めたりも結構刺激にはなる。

 メインロードは大阪外環状線(国道170号)、河内長野から寝屋川・枚方まで、少し伸ばして、京都というときもある。

 主人は運転しか趣味がない。あとは将棋、今はテレビで観戦のみ。コロナで会社時代の将棋クラブは、なくなってしまった。

 私はゆっくりだが草抜きもする、そして次の日は寝こむ。それでも草と虫の嫌いな主人には頼めない。一人で黙々とやるしかない。もうこの広い庭のある家が手に負えなくなりつつある。

 娘は嫁に行き帰ってこない。

 いつまでもここには住めないのだが、主人は動く気配がない。つもりはあるのだろうか。何があってもここに骨を埋めるのだろうか。将来なんて、その言葉は、今の私達には、ないのかもしれない。

 選挙が、少し前にあった。コロナワクチン接種会場は小学校の体育館、選挙の投票は、中学校の体育館。久しぶりに会うご近所さんである。五十年の住宅街の付き合いも、親しさのなんと希薄なことか。

 コロナのせいかもしれない。みんな長生きしすぎて、レクレーション等はもう無理な歳のせいかもしれない。どこも夫婦でかなり広い家に暮らしている。が、散歩の人も犬を連れ歩く人もいなくなってきた。外には、うちも同じだが、車でしか出ないようだ。 

 町内会の当番が回ってくる。年年堪える、しんどいかも。それでも役になったら、多分頑張って回覧を回しているのだ。私達よりここに十年くらい早く住み始めた人達がいるんだから。80代のはず。

 それでも、少しずつ、住人の引っ越しや住み替え、建て替えをみるときもあるようになり、世代交代は、ゆっくり進んでいるとは思う。順当にそうなっていって、私達もちゃんと世話してもらえる老後を迎えたいものだ。

 今は親が子の所へ寄っていく形が多いようで、主人の姉も娘の近所に老後の家を確保したという。ただ住む、寝るだけの空間だという。それもありかなと、人のやりようを見て、考えている。まだ結論は出ない。

 

炎天のそれでも空の青さかな

世の隅の溢れ一票風涼し

ざるうどん選挙帰りの人の列

素手で抜く草よりぽろり瑠璃蜥蜴

青草と抜くぞ抜かさぬとふ勝負

草曳きも運転もあと幾年か

行合の空や老後の暮らし方

青磁に生ける百合のピンク

青磁に生ける百合のピンク

          2022/08/22

          十河 智

 

 写真を撮るのが、少し遅かったのですが、記録ですので。

 生ける途中にパラッとおちた百合の花のピンクも捨てがたく、根元に添えました。

 この花器は私の持つ花器の中で一番高価。昔花博のあった時、韓国館で買ったものです。



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外れしもピンクの百合の花弁かな

千日紅柏葉アジサイ白の間

花開くときを待ちけりすかし百合

百合の花青磁を買ひし韓国館

秋暑し床の間の花生け替へる     十河 智

涼しく生ける

涼しく生ける

          2022/08/11

          十河 智

 


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1 竜胆、菊、パンパスグラス、ヒペリカム高野槇



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2 菊、カーネーション

 

花売場には今日は仏花として花束にしたものばかりでした。

うちには仏壇がないし、墓参も帰省したときにするのみです。花材として、ばらして生けることにしました。

 

花束にするも良し悪し盆の花 十河 智

句帖を拾ふ (2022/07)

句帖を拾ふ (2022/07)

          2022/08/01

          十河 智

 

1

【俳句大学】

熱帯夜健忘症の始まりて  十河 智

a night of tropical climate ;

the beginning of the forgetfulness of my age  SOGO Tomoko

 

暑いですね。お見舞い申し上げます。

 

昨日今日祇園囃子の安堵かな

コロナ増ゆ夏の祭りの人の出に

京の旅祇園祭の端を抜け   十河 智

 

being relieved to hear Gion Festival Music ;

these two days

 

the increase of the number of Covid-19 infected persons ;

a large crowd at the summer festival

 

throughout a hustle and bustle area of Gion Festival ;

on a trip in Kyoto 

              SOGO Tomoko

 

私はいま静岡の孫の家に滞在中なのですが、孫は修学旅行で、祇園祭の京都に行っていました。今日帰ってきてやっと顔を合わせました。

 

3

【俳句大学】

7月の、【テーマで一句】

 

「当」

たまにある弁当の日や保冷剤

 

静岡の水の代わりの冷茶かな

鰻屋は休みスーパーで買ふ鰻

 

バス

静岡を駿府浪漫バス巡り

山へ海へ静岡駅発着のバス

 

4

【俳句大学】

2022年7月  

特別企画

バーチャル吟行 

「動画で一句」

 

一面の青田手荒に風が撫で

木下闇鳥鳴き浮かぶ昆陽池

子供らの虫取り網のパサッパサ

増水の川簗仕掛け竿釣りも

山百合の花一本の賑やかに

 

5

令和4年 夏季かみがた通信句会

 というのが、関西現代俳句協会でありました。

 その結果です。

 

参加者98名

自由題1句

席題 1句

「戦」「火」「鉄」

 

選者

久保純夫選、岡田耕治選、志村宣子選、鈴鹿呂仁選、曾根 毅選、高橋将夫選、花谷 清選、西谷剛周選

 

残念ながら私の句は、1句採られたのみでした。

 

[席題]

 鉄、戦、火

 

鉄屑と化して戦車は麦の秋

入選 高橋将夫選

 

[自由題]

 

夏の灯や黄昏時の観覧車

 

6

日焼けの子祖父と撫で肩並べたる

正調の鶯夏の青空と

漆黒のピアノに躍る白きシャツ

身内のみ盛夏の昼の小ホール

音涼し祖父の希望のテンペスト(07/20)