「新春コンサート 古澤巌 with はたけやま裕バンド」に行きました。

コープシアターの例会、「新春コンサート 古澤巌 with はたけやま裕バンド」に行きました。

          2020/01/24

          十河智

大阪いずみホールで、コープシアターの例会、「新春コンサート 古澤巌 with はたけやま裕バンド」を聴いた。
 午後一時からの会場であったが、私は朝に出て、用事をすませてから、タクシーで回った。
 お昼は同じグループの人達と一緒にというはずだったが、誰も携帯に出てくれず、一人。その辺ですませた。まあこういうときは、おしゃべり夢中だったり、雑踏の騒音で、出ないというのがおばちゃんグループでは普通かもしれない。
 会場は開演間際であったが、大きく真ん中が空席であった。早く出かけていたので、知らなかったのだが、ちょっと前に京阪電車の駅で、人身事故があり、止まっているらしかった。つい先日もあったし、最近多いような気がする。スマホかな?私達の連れの一人も、まだ来ていない。JRで迂回すると言ってきた。
 公演は、15分開始を遅らせるとアナウンスされた。コープシアターという身内の例会のためか、出演者の配慮なのか。ありがたいと思っていたら、古澤巌さんが舞台に出て来て、退屈でしょうからと、プログラムとは別に、弾いてくださった。後でバンドも加わり、アンコールの先取りと思っていたら、きっちり最後にアンコールにも応えてくれた。
 舞台上は4人なのだが、ピアノと打楽器がセットされて、いつものいずみホールとは違う雰囲気だった。席も今回は前の方で、舞台と高低差が少なく感じられ、ライブハウスのようだった。
 バイオリンもパーカッションも聞かせ場、見せ場があって、引き寄せられた。「バロックだ、ロックだ。」などと何回か古澤さんが言っていたが、私についていけるくらいの激しさだった。
 はたけやま裕さんは、初めてだったが、すごく精力的に動くパフォーマンスで、凄いと思った。おしゃれな白黒大柄のニッカーボッカーズが斬新で、パフォーマンスによく合っていた。
 古澤巌さんの衣装も長めの上衣をゆったり羽織り、ブランド物のスカーフらしき柔らかい布をだらりとバイオリンに乗せ顎に当てる。初老の気怠ささえ見える話し方で、鯱張らない。会場にはそれ以上の平均年齢の聴衆である。舞台との境界線が薄められていることに安心する。
 ところが、ひとたびバイオリンが響き、打つ音が轟き始めると、音楽だけの世界になる。演奏者の姿が消え、バイオリン、パーカッション、ベース、ピアノが、音のまま踊りだす。気持ちがいい。
 終演後、ロビーで、お二人のCDを買った。CDで、また違う趣の演奏を聴いた。生で聴く迫力には及ばないが、完璧さを追求していることがよくわかった。
 生きていると、行きたくなる、買いたくなるものだと、つくづく思う。歳を取ったと言いながら、コープシアターも惰性で辞められずに続いている。そして惰性で行きあった場所で、このように刺激を受けて、多分エネルギーを注入されているのだ。
 いずみホールから京橋までの風が吹き抜ける長い連絡橋の途中で、息苦しくなり、連れに遅れを取った。吸入薬を取出し、調子を整えて、電話してみるが、また出てくれない。改札口の前まで来ると、待ってくれていて、携帯の電源を入れていた。会場で切ったままだったのだ。全員が。椅子のある場所まで来て、復元開始だったようだ。
 京阪電車は動いていた。寝屋川市駅まで帰り、割引券の使えるいつものところで、ホットコーヒーを一緒に飲んで、それぞれの方向に別れた。
 

事故遅延客待つ大寒コンサート
冬暖か待つ間を埋めるニ・三曲
名手弾く名器であらむ冬月光
重ね着に顎当て布が少し派手
ニッカーボッカーズ着て颯爽と雪の精
二十日正月パーカッションとして拍手
華やかに跳ねて打つ女(ひと)冬の薔薇
冬の暮CD二枚抱き帰る
凍て川の上なる連絡通路かな
大寒や発作の止まずありにけり
寒風や電源切りしままスマホ
冬の駅ベンチある場所知つてをり
コーヒーを割引券で底冷えす