句帖を拾ふ(2022/10)
2022/11/01
十河 智
1
数珠玉のしつかり緑濃き姿
白萩の撓垂れ掛かる風情かな
真に芒高く置きけり堂堂と
秋桜や風にほどよく曲げられて
ざつくりと掴み花瓶へ秋の野を
2
会ふ人に会へず再び秋の川
秋の夕暮れスターバックスにてコーヒー
秋の風バスに乗る人それぞれに
秋寒し予定熟せしふうをして
老いたのかコロナのせいか紅葉散る
3
バス停に眩しき秋の昼下がり
違ふ!高槻に駅二つ秋
駅前に救急車また秋暑し
電車から吐き出され来る秋陽射し
ノンアルコール注文の筈秋の昼
4
暴漢の凶刃奮ふ秋の駅
秋の雲天寿全う女王の訃
名月や国葬のこと立ちあがり
秋空や柩を覆ふ英国旗
5
コスモスの外つ国よりが意外なり
風に戦ぐコスモス見たし般若寺
背の高さ超えるコスモス分け入りぬ
コスモスにただ酔い痴れて仏見ず