句帖を拾ふ(2021年9月)
2021/10/01
十河 智
1
「俳句大学」席題2021年09月第一週
虫
昼の虫気怠く指に掴まり来
その辺の草の茎と葉虫籠に
徒広き雑草の庭虫の秋
澄み切りて庭に虫の音ただ一つ
秋時雨藪の小径は寺へ抜け
2
「田舎の美術館」
松の葉に玉なす露や連連と
朝露の笑みそこここに晴れ渡る
3
(ダイナマイトカサブランカを生けて)
ダイナマイトカサブランカ爆発す
4
「俳句大学」席題2021年09月第ニ週
「秋寒」
うそ寒し詐欺に注意と一画面
秋寒や安堵も込めて蒼き空
そぞろ寒庭師の置きし脚立など
やや寒き勤め帰りの接種場
テレワークリモート句会やや寒し
5
「サロン ケ・セラ・セラ」
お花をお楽しみください。
画像より香を聞こし召せ秋の薔薇
6
「俳句大学」席題 2021年9月第3週
「新酒」
利酒をしたきと一人戻りけり
何となく降りし伏見の今年酒
酒飲まぬ我家にせめて新酒粕
新酒酌む年に一度の女子の旅
新走り乗せて灘より江戸へ船
7
「糸島美術館」
荒屋のサッシが軋る菊の庭
晴れ渡る生姜の花の真白かな
8
「俳句大学投句欄」
金網に土止めに葛の葉が絡み
leaves of kudzu vines ;
twining over the retaining walls and around the wire fences
放棄田やみるみるうちの真葛原
abandoned farmlands ;
fields of kudzu growing in no time at all
9
「サロン ケ・セラ・セラ」
ただ遠く眺めてゐたり秋の山
10
「俳句大学」写真で一句
「コロナ撲滅特別企画!」第10弾
コスモスの賑はひ薄き黄色かな
秋の蝶めしにありつく風来坊
秋灯図鑑を捲り鱗翅類
12
「俳句大学」
2021年9月第4週「テーマで一句」
夏雲システム利用
当季雑詠(初秋・三秋・仲秋、晩秋。自由律・無季俳句も可)
(テーマ)
1「道」
一本のこの道長し名の木散る
秋の錦鎮守の杜の小道かな
2「秋の水」「落し水」「水澄む」とかの季語がある。日本の秋は水と関係が深い「水」から派生して「液体」に関する句。「水」の文字は含まないこと。
分け入れば小川せせらぎ櫟の実
3「空」の文字の読み込み。
星月夜全き夜空失ひて
4「旅人」をテーマにして。
周遊券各駅停車蕎麦の花
13
「サロン ケ・セラ・セラ」
お花をお楽しみください。
復活の藤袴かな宇治辺り