句帖を拾ふ(2021年6月)

句帖を拾ふ(2021年6月)

 

        2021/07/01

 

        十河 智

 

1

[俳句大学 席題一句]

2021年6月第1週

 鰺(あじ) 「夏-動物」

 

行商のおばさんの出す今日の鰺

娘にと明石魚ん棚鰺を買い

新婚の散らばる鯵の鱗かな

 

[俳句大学 席題一句]

2021年6月第2週 

花菖蒲(はなしょうぶ) 「夏-植物」

 

野花菖蒲咲く池南アルプス

あれこれとこれまでの旅花菖蒲

菖蒲園周遊花に名の有りて

 

3

[俳句大学 席題一句]

2021年6月第3週   

蠅取(はへとり) 「夏-生活」

 

蝿取りぼんゆらゆら揺れる島食堂

蠅叩変はらぬ壁の待機場所

魚市場隅に貼りたる蝿取紙

隣り合ふ田畑のありて蝿取り器

蝿打に蝿の痺れる微電流

 

4

6月の、俳句大学【テーマで一句】

①「遊び」のジャンルに入るものを読み込む。 (例) 電車ごっこ、かくれんぼ、おにごっこ、あや取り、ゲームなど。遊びの道具でも可(めんこ、おはじき、ジャングルジムなど)。スポーツとされるものは不可。季語になっているものは不可。

蝋石の絵と喋る子や水を打つ

茂りより拾ふ小枝やけんけんぱ

 

 ②音に関する物でお願いします。【注意】音の文字が入って無くても良い物とします。

 

黒南風や聴こえにくきに字幕入れ

 

 ③猫をテーマとして、俳句を詠んで下さい。

ユーチューブグラビアの猫明け易し

壁に貼る猫のまつすぐ見つめ夏至

 

5

[俳句大学]

アスパラガス

asparagus

 

アスパラガス細きが芯の強きもの

a thin green asparagus;

a thing of having guts

アスパラガス皮をゆるりと剥きにけり

a green asparagus;

peeling slowly(06/02)  

 

6

[俳句大学]

梅雨

rainy season

 

雨またも亜熱帯的梅雨に入る

repeated subtropical downpour; 

rainy season in Japan 

倒木の残る山道梅雨の闇

darkness of the rainy season;

a mountain path where the fallen tree being left (06/06) 

 

[俳句大学]

走馬灯

revolving lantern 

 

亡き父のための読経や走馬灯

sutra recitation for my dead father;

revolving lantern 

座布団を隙間無く置き走馬灯

setting seat cushions in lines with no spaces;

revolving lantern (06/08)