追悼

追悼

         2020/12/01

         十河 智

 

初霜や馴れぬネットに縁を得て
それぞれに二十歳の冬の御所あたり
ちり鍋や魚(うを)を商ふ人らしき
見(まみ)えねど正しく句友冬温し
陽だまりに色なす落葉集まり来
金沢の人の訃報や冷える日に  
     

 SNSで句友となっていたある俳人が亡くなられた、そして、皆さんが、句の師であり友であったと、哀悼の一文を投じておられる。
 微かな接点ではあったがお優しいお人柄に接し、ネット社会にも和ぎの空気を感じる事ができた。一時闘病の為にSNSを離れられた時の寂しさと、戻ってこられた直近の数カ月のその方の投稿を読むことの幸せ、微かでも、その方と繋がりがあることが嬉しかった。
 未だに確かなものとして受け入れていない部分が数%残るのは、ネットの、この微かな繋がりの故でもあるのだが。徐徐に、多くの方の追悼の投稿に接することにより、その数%が、零れて失せていった。