機関誌「俳句大学」第4号

機関誌「俳句大学」第4号

          2020/09/16

          十河 智

俳句大学の機関誌ができました。手元に届き、活字となった作品を読み返しています。やはりいいものですね。

 俳句大学は、俳句の国際化をめざし、多言語で書かれた短詩を「haiku column」で募集してきた。講師の人々の努力で、今多言語共通に俳句とはなにかを模索、日本の俳句の持つ趣きを言葉が代わっても表現できるために、提示するルール、作句の決まりはどうすればよいか、と、試行錯誤が繰り返され、現在は、KIGO HAIKU(季語を含む、2行の詩)が提唱されている。その成果も、一部ではあるが、この本に収録されている。ここでは、まだ添えられる日本語訳は、2行で直訳的であるが、現在の「haiku column」の投稿は、前述のKIGO HAIKU(季語を含む、2行の詩)となっている。それぞれの言語の達人が、一行のこなれた俳句に勘案、訳して添えていく。最近上梓された向瀬美音さん編の「国際歳時記ー春」にはその方式で例句が挙げられている。
 私も、俳句大学への投稿は、俳句、英語でも同時に作る作業を課して、投稿している。全く同じではないが、同等と言える俳句とhaiku、それが理想である。
 外国を旅していても俳句を作ろうとしている自分があり、これまでも形にしてきた。四季のあるアメリカやニュージーランドでは、あまり困らず、俳句になった。そこでの季節感を感じるままに書けばよかった。
 今、シンガポールの旅をまとめている。気候が違う。575というだけの季語のないメモのようなものばかりでてくる。ただそれでも作り続けてみることにしている。何事もやってみて次に進めると思うのだ。
 世界のどこへ旅をしても、そこにその土地の歳時記があり、それを土台に俳句が作れる世の中になったらいいなあと夢見ている。
 日本にはどこへ行ってもその土地には歳時記がある。そういう俳句の土台、下支えの文化が、世界へと広がればと思っている。向瀬美音さんの国際歳時記は、そこへ向かう端緒となる予感があり、何か自分にできることで、協力できたらと、応援している。