スマホロス&ラブ〜機種変更、次いで保険証の変更も

スマホロス&ラブ〜機種変更、次いで保険証の変更も

          2019/12/26

          十河智

 突然スマホが充電できなくなった。受口の端子が潰れたようだった。いくら差込もうとしても入らなくなった。
 駅前のYモバイルショップへ慌てていった。修理できると思ったのに、できるかどうかわからないし、お正月を挟んで、直っても直らなくても、二週間以上手元にないという。
 スマホを手にして四年半だと、これも店の方でわかるらしい。機種変更を勧められた。
 慣れて自分のものになるまで、時間がかかった。やっと使いこなせるようになった。それでも、この歳の人間には、日々新しいことが起き、未だに難しいのだ。料金体系の仕組みがピンときていないし、この小さなブラックボックスが、便利すぎて、お金を使い過ぎはしないかと、まだ恐れながら使っているのだ。
 なに、使えない? 機種を変更しろだって?
 なんとかデーターをバックアップして、それ以上電池を使うと、もう使えなくなる。そうなれば、手の施しようがないと主人に言われて、ほんとに大慌てで飛び込んだのに、修理は損だと言われた。
 いろいろ不安はあるが、毎日使って、こうして投稿したり、ペーパーレス生活のメモ帳代わりであった。
 中毒になっているかもと思う症状もある。少し暇な時間ができると、スマホを身体が欲し始める。人さし指の先から弱いビームが発せられて、画面を突きたいと探しているように思う。脳から、メモの切り取りどこへ貼り付ける?と急かされる。今、半日触れないだけで、スマホロス状態なのだ。
 本もネット経由で買うようになると、電子ブックを使えと言ってくるし、Yahoo! は毎日のように,PayPayを勧めてくる。お財布携帯という物だ。が、今までもこれからもこれらは利用するつもりはない。こんなふうに充電切れが起きた時どうしようもないからと、前から危惧があったのだ。
 結局新しい機種にすることになった。同じメーカーにしたかったが、新機種発売を待っているところで、今は在庫なしだという。奨められるままに決めた。
 そこからがまた大変だった。お定まりの契約の説明を聞かされる。一括でも4年でも利子の減免はないという。3年の分割にはしたが、つい聞いてみたくもなる、「その間に、死んでしまったらどうなるの?」相手の若い女の子は、考えの範疇外だった様で、無視されたが。
 機種代金は安くなっている感じがした。メーカーが違うせいかどうかは知らない。通信費の上に2千円くらいの上乗せで3年間。
 だが、この3年が、結構人生の終活をと、切実に感じている時期と重なり、「どうなっても知らないぞ! 」なのである。
 ついこの間、主人に、「後期高齢者健康保険証」が、送られてきた。あれ程愛する元の勤め先との絆がまた一本切れる。後からその会社の健康保険組合から、連れ無い告知が来る。「保険証の返還を、期日後5日以内に行うこと」「家族の被扶養者も、この健保から外れるので、国保など後継の健保の手続きを行うこと」の2点が書かれていて、国保には、被扶養者という概念がないので、個人での加入となりますと注意書きがあった。周辺でよく聞く話は国保のほうが保険料が高くなるというものだが、この辺を暗示するような注意書きである。話が横道に逸れるが、健康保険証の手続きには、スマホのことがあったので、その翌日になったが、市役所に出向いてやって来た。私はほとんど収入がないので、保険料もかからないと高を括っていたら、保険料は、世帯の収入で決まり、国保からの連絡は、世帯主のところに行くというのだ。被扶養者とどこが違うのか、訳がわからない。個人加入と言いながら、世帯主?つい声高になって、「個人個人と言うなら、始めから終いまで、個人で通してよ!」「主人に何かあったら、またややこしい手続きに来いっということ?」
 おまけに、1月2日で期限が切れるのに、年末年始は休むので5日以降にしか保険証は出せないという。「後期高齢者健康保険証は向こうから来たけど。」というと、「あれは府の仕事ですから。」と。持病のある者にとっては、この切れは怖い。「どうしても必要になれば、臨時の代用書類が出ますから来てください。」だって。
 まあ、手続きだけは終えて、市役所の受付の小型電化製品スマホタブレット用の廃棄ポストに充電の完全に切れた前のスマホをポイして帰った。カードは抜いたが、本体には、何某かのメモリーが残っているのかもしれない。電池がなくなれば初期化もできず、エイっとばかりに捨ててきた。
 あれから3日、機種や進化に応じたアプリをインストール、lD・PWを何度も問われ続け、このスマホにもようやく慣れてきた。付き合っていける気持ちにもなってきた。
 心も安寧を取り返してきている。スマホラブ。 

充電不能スマホとなりぬ冬曙
数え日の突然来たるスマホロス
冬暖か機種選定のカウンター
データーは失はれずに冬の雲
SIM SD カードは抜いて冬落輝
習ひ覚えたつた四年や紅葉散る
大年越し分割スマホと保険料
歳晩の役所業務に声荒ぐ
寒烏回収ポストに古スマホ
スマホラブ大きな文字の師走の句