薬師寺へ何十年ぶりかで行きました。

薬師寺へ何十年ぶりかで行きました。
         2019/04/28
 用事があって、何時も一緒に出掛ける友人がやって来ました。どこかへ出掛けたい天気のいい日でしたから、奈良の薬師寺に行こうと誘いました。
 薬師寺には長いこと行っていません。西塔が再建されたと聞いていたというくらいですから、四十年くらいでしょうか。実は新聞の広告に玉置浩二の奉納コンサートが載っていて、脇に二塔が輝いていたのです。ああ、今行けば二塔が見られるのかと思っていたのです。
 ナビ設定。いつものごとく運転手は君で、友人と二人で楽しくおしゃべり。着きました。駐車場は、奈良のお寺の門前によくある無人で、ここは貯金箱が置いてありました。五百円玉をぽとりと入れて、薬師寺へ。
 何となく樹木が少なく、仁王像にしても新しい感じがあったのは、私たちもよく知る、お話上手の高田好胤管主の発願により再興されたものばかりだからであった。古きを背負い、新しい。他のお寺とは違う時代の反映、輝きがあるように思った。
 仏像は白鳳、建物は昭和、平成。写経や寄進によって賄われ、奉納コンサートなども開かれて、お寺の今の有り様を作り上げてきたのかもしれない。時代と共にある感覚が受け入れられた。
 ただ東塔が今幕に被われていた。宣伝に偽りあり?大修理中だそうだ。たぶんあのコンサートには幕が取り払われるのだろう。残念だった。
 他にも法要準備とかで工事のところがあり、団体への講話中のところがあり、それらを避けて、堂を巡っていった。食堂の田渕俊夫筆「仏教伝来の道と薬師寺」、平山郁夫筆「大唐西域壁画」を時間をかけてゆっくり拝見した。
 友人は寺の受け付けの人とある絵の前でお話している。その絵の中に人が一人だけいると教えられて、探しているのだ。平山郁夫さんと親しかった高田好胤師が書き込まれているという。二人で探したがわからず、教えてもらった。人と言えばそう見える、白い影であった。この絵の置かれる玄奘三蔵院伽藍の天井はラピスラズリの群青色で、星・月・太陽のある空であった。
 お堂を出ると眩しい。駐車場のある喫茶店が開いていて、あれっと思ったが、別に、開いていれば入るでいい商売なんだろうなと思う。
 まだ日が高いうちに家に帰った。

新聞に春宵薬師寺二塔かな
貯金箱置く駐車場鄙の春
修復の寄進を募り春深し
塔一つまた被ふ幕春暑し
春惜しむ奈良薬師寺の仁王門
修練の寺としてあり春日向
大修理途上平成終る春
準備する奉納春のコンサート
寺内行く修行の僧やかぎろひて
春の昼薬師如来の供花菊
春の日の食堂ほの暗くして広し
伝来図唐より大和への霞
春深し天井の絵のラピスラズリ
聖地行く僧絵の中におぼろなり    十河智