京都、森嘉の豆腐と北野天満宮の梅見

京都、森嘉の豆腐と北野天満宮の梅見  2019/03(11

 京都北野天満宮の梅を見に行ってきた。去年は遅く行って梅園には入れなかった。
 もうひとつ、少し方向は違うが、嵯峨野森嘉のお豆腐とひろうず(がんもどき)を買いに行きたかった。何年かに一回だが、昔からあの製造所の窓から買うお豆腐とひろうず(がんもどき)が好きで、わざわざでも買いに行っていた。近頃は、天満宮の梅見とセットが多い。少し寒いくらいの今頃が豆腐を持ち歩くために都合がいいからである。去年は定休日に行ってしまった。
 その両方のために、土曜日、少し早めに出掛けた。売り切れとかの可能性があるので、森嘉をまず目指す。
 ナビは嵐山から嵯峨野の観光客のとても多い道を教えるので、主人は神経を使って運転している。その突き当たりのお寺のところを曲がると森嘉である。
 今は製造所が建て替えられて、入口がちゃんと作られていて、観光客も、近所の人も、私たちのような遠来のものも、一列に並ぶ。
 ベンチがあって、外国人が油揚げをファーストフードのように紙でくるんで、齧りついている。ちょっと珍しい光景であった。お店のおばさんは計算器片手に、品書きと指差しと計算器の数字で、無言でこなしていく。私たちには、普通の応対で、使い分けている。面白い光景だが、京都っぽい。外国人観光客の受け入れ方も、ここまで自然だと気持ちがいい。
 駐車場も整えられていて、ここも大きくなっていた。ひろうず(がんもどき)も豆腐も味は変わっていない。品書きも同じで、昔のままを守っているようだ。ふと思い出したときに、来てほっとする。
 それから、北山通りのホルクスへ行く。植物園へ行くときによく利用するレストランだが、駐車場がサービスつきの有料なので、気兼ねなく置いておける。コーヒーがお代わりできるのが、主人の気に入り。ランチを済ませて、タクシーで北野天満宮へ。駐車場で手こずるのが心配だったのだ。
 それほど混んでいず、駐車場もまだ空きがあるようで、ちょっとタクシー代のことを考えたりもしたが、まあ仕方ない。よくある外れ。
今日は梅園にはいると決めていたので、並んだ。主人はいいという。携帯があるので、こんなときはスパッと別れて行動する。
 タクシーの運転手が梅花祭と言っていたが、その会場には幔幕が張り巡らされ、少し前に終了したらしく、すごい数のパイプ椅子を片付けていた。
 梅園は明るい日差しを受けて梅の花が耀いていた。入場券にお菓子と梅茶が付いていて、縁台にお白湯のポット。「菅公梅」という銘の麩焼煎餅。若い膝に穴を抜いたジーパンの男の子が、彼女に梅茶をいれてあげている。みたらし団子が美味しそうにあちこちで食べられていた。持ち帰りを買って家で食べることにしよう。(天満宮の隣に花街だった上七軒がある。そこの老松という店が茶店を出していて、みたらし団子は「七軒だんご」という名物。小振りで柔らかく、食べやすかった。)
 茶店から見渡す梅園は広々と、個性的に梅の木の姿が競い合っていた。春の日差しは柔らかいが、少し冷たい風が、梅の香りを運んできた。
 梅園に降りて、少し写真を撮ったが、人の流れの隙間で、梅が全体を見せる瞬間を探さないといけない。大きなカメラをもつ人やスマホで自撮りや彼女や彼を撮るひと、見事な梅の前は人でいっぱいであった。
 あまり遅くならないうちに帰りたかったので、小一時間ほどで外に出て、タクシーで駐車しているホルクスに帰った。一時間半無料で三十分二百円、二百円だけ払ってでた。タクシー代は距離もあって、かなりかかった。調べてバスにできたかもしれないと思った。
 帰途、第二京阪巨椋池までが夕方で、時間がかかった。八幡、京田辺辺りで日が落ちた。夕日が美しかった。
 
三月の嵯峨野車で進入し
油揚げパリパリ齧る梅日和
京の北嵯峨野に豆腐買ひ梅見
タイムズに置きてタクシー梅園へ
まだ空きの梅咲く横の駐車場
花の兄や間に咲かぬ木を見つつ
天満宮参道の梅こは前座
どこまでも紅梅白梅垂れ梅
臥竜スマホを翳す自撮りかな
梅花祭終へ畳まれるパイプ椅子
番号札梅見茶屋にて飲む梅茶
梅東風や麩焼煎餅菅公梅
上七軒老松梅見団子かな
梅日和人の隙間で撮る写真
春夕日今落ち切りぬ家路かな  十河智