台所と居間、二人の距離

台所と居間、二人の距離

        2020/12/07

        十河 智

 

 昨日は、BS日本のうたで、録画を見ながら、歌いまくった。

 今、年がら年中の鼻炎で、出にくい声を張り上げて、懐かしすぎる「イヨマンテ」から「絶唱」、「東京のバスガール」まであった。ほぼ私の歌謡曲の範囲を網羅していた。おまけに「フランシーヌの場合」まで。

 台所でテレビに張り付いていた。

 居間では主人が、ベートーベン第9を、Eテレで見ている。趣味が全くかけ放れているので、テレビは2台、いつもこうなるのだ。

 「えらいご機嫌よく歌うとったな。」と感想を述べられた。😄😄😄😄😄

竜田川吟行、奈良は楽しい。

竜田川吟行、奈良は楽しい。

        2020/12/07

        十河 智

 

 平群から斑鳩へ行く道は途中竜田川に沿っている。最近になって、偶然そのことを知った。

 この前一度行ったのだが、紅葉がきれいで遊歩道も整備されている。駐車場を探して車を降り、竜田川の遊歩道を歩きたいと、出かけてみた。

 大橋を渡って、国道25号線を法隆寺の方へ行ってみたが駐車場は見つからない。あまり川から離れないうちに戻り、そのまま25号線を行くと、大型店が固まっていて、駐車場を見つける。ジョーシンの前に停めた。今度からここに停めて散策しよう。

 橋を修復中だったが、川沿いの公園にはところどころにベンチがあって、紅葉も配置良く視界に入る。長く歩くと疲れる体には、嬉しかった。冬になると、木の姿が変わり、裸木や実成りでは、名前も思い出せない、ここは、名札が添えてある木が多く、手入れされているようだった。

 奈良が生駒をトンネルで抜けるようになってとても近くなった。

 ならまちや猿沢の池、奈良ホテルの喫茶室が最初の目的地だったが、奈良に住む古い友達に聞いて、まず佐保川に花見に行くようになった。その頃、佐保川の堤には俳句のぼんぼりも並ぶ。

 法隆寺や秋篠寺にもそこを目的地として、よく行くようになった。

 JRに乗って奈良に行く時に竜田川は、景色として見ていたが、やっとそこに立つことができた。

 奈良は楽しい。

 

竜田川吟行

 

冬紅葉平群より行く法隆寺

紅葉づるや竜田大橋行き戻る

公園でマスク着用なる掲示 

遊歩道紅葉の赤を辿りゆく

奈良小春連立つ人ら皆静か

竜田川ベンチの前の冬紅葉

竜田川桜落葉を踏みしめて

竜田川冬木さくらの芽を仰ぐ

冬青空大きや木木の戦ぎ中

鳥も来て冬の紅葉と赤き橋

 

 

 

追悼

追悼

         2020/12/01

         十河 智

 

初霜や馴れぬネットに縁を得て
それぞれに二十歳の冬の御所あたり
ちり鍋や魚(うを)を商ふ人らしき
見(まみ)えねど正しく句友冬温し
陽だまりに色なす落葉集まり来
金沢の人の訃報や冷える日に  
     

 SNSで句友となっていたある俳人が亡くなられた、そして、皆さんが、句の師であり友であったと、哀悼の一文を投じておられる。
 微かな接点ではあったがお優しいお人柄に接し、ネット社会にも和ぎの空気を感じる事ができた。一時闘病の為にSNSを離れられた時の寂しさと、戻ってこられた直近の数カ月のその方の投稿を読むことの幸せ、微かでも、その方と繋がりがあることが嬉しかった。
 未だに確かなものとして受け入れていない部分が数%残るのは、ネットの、この微かな繋がりの故でもあるのだが。徐徐に、多くの方の追悼の投稿に接することにより、その数%が、零れて失せていった。

現代俳句協会の「現代俳句年鑑2021」

現代俳句協会の「現代俳句年鑑2021」

           2020/12/01

          十河 智

 

現代俳句年鑑2021
     十河 智
春の雪地球まるごと狂ふかに
梅雨の雲線状降水帯とふ大蛇
月へ行くバスであるかのやうに坂
白秋や白寿の白髪刈り上げて
元号の入らぬ暦買ひにけり

 

 現代俳句協会の「現代俳句年鑑2021」が刊行され、手元に届きました。
 この年鑑は、2019年一年間の主に「俳句スクエア集」に出した句の総まとめにしています。

句帖を拾ふ(2020年11月) 

句帖を拾ふ(2020年11月) 

          2020/12/01

          十河 智

 

手作りのマスクも秋の袷なる 

two-ply cloth masks of autumn :

home-made     

 

すうすうと秋の空気の換はりゆく  

some fresh autumn air in ;

feeling a little cool      

 

開放の窓より素風遊覧船  

the autumn wind ;

from the open windows of the pleasure boat 

 

まだまだコロナ感染対策必要ですね。友達と旅にでたのですが、少し寒めでした。

 

秋深し

deep autumn

 

秋深し森深きところへ入る

deep autumn ;

deeply in the forest I am

 

秋深し二人の孫の誕生日

the birthdays of my two grandsons ;

deep autumn(11/01)

 

秋薔薇

autumn rose

 

秋薔薇は真紅結婚記念日に

the crimson of autumn roses ;

on the day of wedding aniversary

 

秋薔薇の高貴なるかな丹精す

the noble autumn roses ;

carefulIy cultivated

 

刈田

haervested rice field

 

一日で刈田となりてありにけり

harvested rice fields ;

in a day 

 

コンビニの刈田となれば目立ちけり

a convenience store stands out ;

now rice fields are harvested

 

オリーブの実

olive berry

 

オリーブの実コロナに店を仕舞ひけり

olive berries ;

due to COVID-19, the store closed 

 

オリーブの実搾油工程へと流る

Olives ;

a flow into the process of squeezing oil

 

爽やか

fresh crisp brisk

 

爽やかや割引券のある店へ

cool and crisp ;

to the store to use the coupon

 

爽やかや浮き浮き旅に出る用意

brisk fall weather ;

preparing for travel in a happy mood

 

席題2020年11月第一週(11/0 1~11/02 )

「神の旅」

 

神の留守コロナ第二波三波来て

神送るホモサピエンス全史かな

神の旅出雲で聞けば全て逆

 

席題2020年11月第二週(11/07/08)

 

ステイホーム小春日和は庭に出て

うとうとと猫撫でてゐる小春かな

遠き日の母の手仕事小六月

 

9

立冬

the first day of winter

 

立冬やただ一日が過ぎただけ

the first day of winter ;

only a day has passed

 

立冬や大統領は定まらず

the first day of winter ;

the president elect is not settled yet

 

10

寒スバル

the Pleiades

 

寒スバルそれさへ見せぬLEDの灯

the Pleiades ;

the obstruction of 

the LED lights on the street  

 

寒スバル長き道来て老いて今

the Pleiades ;

a long way and now reaching an advanced age 

 

11

オリオン

Orion

 

オリオンやバスを降りての案内人

a guide from the bus stop I get off ;

Orion

 

屈強な武人居らぬ世オリオンよ

Orion ;

the age of no tough warriors

 

12

owl

 

梟や飼い主さんもやや寡黙

owl ;

an owl owner with fewer words

 

梟の鳴き声あれは符牒やも

owl is hooting ;

It is some password, isn't it?

 

13

ウィキペディアの陰に人の手冬ぬくしWikipedia has human writers behind ;

writer warmth

 

この前、テレビでウイキペディアはどう記事になっているか、特集していました。日本にも何万人も、ボランティアライターがいるそうです。

 

14

席題11月第3週  夏雲システム利用による合評句会

枇杷の花(びわのはな《びはのはな》)「冬-植物」の季語

 

何れ成る実を思ひけり枇杷の花

枇杷の花見え老境に入る自覚

枇杷スマホで撮りて美しき

枇杷の花昔子供と埋めし種

目に留めてコロナ禍の庭枇杷の花

 

15

winter

 

冬が来る安堵のありぬ地球かな

a relief ;

winterlike winter on the earth

 

冬の日日感染最多どの都市も

the announcement of every city ; 

the largest number ever of the Covid-19 infected in every winter day 

 

16

小春

indian summer

 

小春日の換気全開ガラス窓

completely opened glass windows for ventilation ;

indian summer

 

小春日やコロナワクチン完成報

indian summer ;

the news of commpleting Covid-19 vaccines

 

17

11月のテーマで一句

当季雑詠(冬)

(下記の1~4のテーマを必ず使った句)1~4のテーマを二つ以上組み合わせ可。5句以内

 

テーマ 1「ダーウィン」これから発想をした句、イメージ 

冬の稲妻天才少年とAIと

ウイルスを取り込み進化隙間風

 

2.「迷」 漢字一文字です。この漢字を、季語には使えません

迷走の大統領のマスクかな

 

3.「い」上五の、頭の文字の指定です。い、の読み方ならば、平仮名、漢字、カタカナ、なんでもOKです。ただし、季語は不可です。

今昔コロナを知らぬ冬の旅

 

4.新型コロナウイルスをテーマに、季語を入れること。

毛糸編む籠りの時間コロナ禍の

 

18

三寒四温

a cycle of three cold days and four warm days

 

医者に告ぐ三寒四温の不調かな

a talk of my disorder with the doctor ; 

a cycle of three cold days and four warm days

 

外出を様子見三寒四温かな

a wait-and-see to go out ;

a cycle of three cold days and four warm days

 

19

初時雨

first light rain

 

青空と白い雲あり初時雨

a blue sky and some white clouds ;

first light rain

 

初時雨一つ二つと雨の粒

first light rain ;

a raindrop and then another one to the skin

 

20

席題11月第4週 夏雲システム利用による合評句会です。

 

冬の星(ふゆのほし)

 

オリオンや旧友訪ね来るやうに

冬北斗昔娘にまた孫に

街灯の一基切れゐて冬銀河

電飾に溺れ冬星見ぬ世なり

天狼や星降る郷のパンフレット

修学旅行、瀬戸内海を越えては行けない。

修学旅行、瀬戸内海を越えては行けない。

       2020/11/22

       十河 智

 

 19日午後、坂出沖で起きた海難事故、犠牲者は出なくて幸いだったが、香川で育ち、教育を受けた、私達の年代のものは、少なからず驚いた。私達の時代の大事件の教訓が生かされず語り継がれていないのかと。
 
 それにつけても、こういうことがあると思い出す、修学旅行と水泳の授業の思い出。

 1955年5月11日午前6時56分、高松市女木島沖で宇高連絡船同士の衝突事故が起き、修学旅行中の小学生100名を含む168名の犠牲者が出た。泳げなかった女子に多くの犠牲があった。
 この事故の後、小学校の教育で大きく変わったことがあった。私は、1946年生まれ、事故後に小学校高学年だったので、そんな教育を受けて育った。
 第一に、現場である瀬戸内海沿岸および犠牲者のあった中国・四国地方の小学校では、瀬戸内海でを往来するコースでの修学旅行はしなくなった。
 今のように家族で旅行などほとんどない時代である。海を渡る修学旅行への期待が大きく、それがないと聞いて、凹んだ記憶がある。もちろん土佐の桂浜で見た初めての太平洋も未だに絵が見えるほどの思い出になってはいるのだが。
 もう一つ、もともとあった海での水泳授業が、必ず泳げるようにを目標に強化された。泳げない女の子の犠牲者が大きかったためである。泳げる子たちにも遭難を想定した、立泳ぎや遠泳、着衣での泳ぎなどが教えられていたように思う。私は海では怖くてとうとう泳げるようにならなかった。絶対塩水には浮くからと言われても沈む子だった。先生から救命胴衣に頼って、ジタバタしてはいけない。救助をじっと待つようにと教えられた。
 その内に学校にプールが作られるようになった。今はどの学校にも設置されているが、私は高校で初めてプールで授業を受けた。どんな泳法でもいいから25m、これが最低目標だった。水が辛くないのが、私には安心感があり、やっとクロールで25m達成できた。運動音痴は水の中でも同じ、他の泳法では進まないのだ。先生は丁寧に何とかさせたいと一生懸命に、海でもプールでも指導してくれた。でも、クラスで一番走りの遅かった子、一人だけ逆上がりのできなかった子が、やっと泳げた、これは奇跡に近いと今も思っている。名前も思い出せない高校の若い体育教師に感謝している。
 
 自身の思い出も混じえたが、霧も多く、暗礁もそこかしこの瀬戸内海で、船でする修学旅行は、長い間禁忌だった筈なのだ。
 今、私も、学校に関わる仕事をしていて、先生方の修学旅行は少し形を変えて、このコロナ禍にもしてやりたいと、努力されている事をよく知っている。体験型の近いところに変更して行っているように聞いた。日頃お伺いする保健や養護の先生のご苦労も相当のもので、ようやく実現される修学旅行なのである。坂出という土地柄を考えると、歴史を知る上でも、とてもいい計画に思い至ったと思われたのだろう。
 誰一人怪我なく死者もなく、本当に良かった。心からそう思っている。

春の霧消えし命のありし瀬戸
語り継ぐこと難かりき瀬戸は冬
コロナ禍に修学旅行冬となり
暗礁に残る傷あり冬の波
暖冬の海幸いし水難に     

俳句界、きました。

俳句界、きました。
        2020/11/20
        十河 智

私の総合雑誌の楽しみ方を、今月号「俳句界」で紹介します。

 まず別冊、ササッと自分の句があるかどうか別冊を見ます。いつも期待しなくていいくらいの結果なのと、あれば3文字名は案外目立ち、見逃さないのです。
 今回は全然選に入ってませんでした。
 でも、フェイスブックでお友達や句仲間になった人たちの健闘ぶりが同時にわかります。
 もう4,5年になるので、加えて、この投稿欄の常連の方もお名前が見つかると、句を読ませてもらっています。選者によって傾向も違う。すみずみまで、楽しんでいます。
 最後のページまで来ると、『「俳句界」季語歳時記』に採ってもらってました。
 こういうことがたまにあるので、励みになるし、続くのです。

 本誌の方も、俳句大学の国際俳句のページは必ず読みます。
 また、今月号の特集は昭和の名句、つぎつぎと大好きな作家たちが、最適任の方の選句・解説により紹介されていて、興奮してしまいました。
 いろいろな新しく知る人たちの句は、刺激になります。
 
 その場限りになる読み方ですが、十分に意義があり、楽しく読んでいます。